2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Formation of Regional Foreign Affairs Bureaus in Early PRC China and Their Relation to PRC Diplomacy
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20J14226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
景 旻 東京大学, 総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 現代中国 / 国際関係史 / 外国人 / 冷戦史 / 社会主義体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度は、これまでの研究成果を学会などで発表し、参加者との議論を踏まえて研究内容を調整するほか、本研究に不可欠な史料を収集することを主として進めてきた。 まず、研究発表について、論文投稿を計画したため、2020年9月に中国研究所定例学術研究会において「中華人民共和国成立初期における上海の外国人管理――社会主義国家システムの構築と外国人」という題名で研究報告を行った。コメンテーター及び参加者からのフィードバックに基づいて論文を修正して、雑誌論文として投稿するように進めてきた。また、10月に台湾で開催された「百変民国:戦後中国与東亜変局青年学者論壇」において「中華人民共和国建国初期的国籍認定与国籍変更」という題名で研究報告(中国語)を行い、中華人民共和国成立初期において当局が如何に国内での国籍問題を処理したかという今まで見逃されていた課題を提起した。本報告についてはオリジナリティが評価されたため、報告をもとに執筆した同名の論文を学会誌に投稿した。他方、学内の博論審査に関して、2021年初頭に博士論文の全体構成及び各章の内容構想を完成したため、同年3月にプロポーザル・コロキアム(専攻における博士論文構想報告)を行った。審査員から本博士論文が豊富な史料を活用している点が高く評価されたほか、当初の計画通り博士論文の執筆を進める点に関しても同意を得ることができた。また史料調査については、新型コロナウイルスの影響で海外に渡航できなかったため、主に日本国内の国立国会図書館及び関西館、外務省外交史料館、並びにインターネットを通じて、CIA FOIA、FBIS Daily Reportsなどの史料を収集した。 以上のように、令和2年度は研究発信と交流及び史料収集を同時に進めた。以上の成果を踏まえた上で、中華人民共和国成立初期における外国人管理をめぐる考察を深め、引き続き論文の執筆を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスで当初の計画通りに一次史料の調査・収集ができなかったが、デジタル史料、並びに日本国内に所蔵した史料を積極的に活用した。また、国内外で学会発表をおこない、多くの研究者との議論を通じて自分の研究内容をさらに掘り下げることができた。そのうえ学術誌への論文投稿も進めている。他方、学内において、博士論文(テーマ「中華人民共和国成立初期における外事管理と外交」)のプロポーザル・コロキアムを行い、審査を通過した。博士論文の骨子が整い、これから本格的に論文を執筆することができる段階にある。 以上の点から、現在までの進捗状況を「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は主に1950年代までの中華人民共和国政権による外国人管理を中心に研究報告を行ったが、令和3年度は1960年代、特に文化大革命期における外国人管理の状況について研究を進める。 まず史料収集について、中国側の文革期の公文書は基本的に公開されていない。そのため、令和3年度は引き続き政権及び当局者関連のメディア報道、日記、回想録、文集などを整理し、管理対象であった外国人の個人文書および関連する外国側のアーカイブ、メディアなどを集める。また、年度の後半において、ワクチンの普及によって海外渡航が可能になった場合、本研究に必須な北京、上海、天津、瀋陽、重慶、広州など各地方の档案館で史料調査を行う予定であり、令和2年度において入手できなかった50年代の一次史料も調査する。論文の執筆計画に関して、令和3年度から博論各章の執筆を開始するほか、日本、中国、台湾、欧米などの学会で報告し、適宜論文投稿を行う予定である。
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