2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J14288
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
仲田 章太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 被災後補修 / ターンバックルブレース / 露出柱脚 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度(令和2年度)の成果として、採用前に検討していたターンバックルブレースの締め直しによる被災後補修に関する論文を2編執筆した。さらに、ターンバックルブレース締め直しによる被災後補修の対象を壁面ブレースから天井ブレースに展開するために、2質点系せん断モデルの解析プログラムを作成した。来年度(令和3年度)からは、このプログラムを用いて、天井ブレースや非構造部材の被害を評価する研究を行う予定である。 錆および塗装がターンバックルブレースの締め直しの施工性に及ぼす影響を確認するために要素実験を行った。具体的には、発錆およぼ塗装したアンカーボルトの締め付け時のトルクを計測することにより、施工性を評価する。現在は、アンカーボルトに発錆させるために曝露試験を実施している。 露出柱脚のアンカーボルトの埋込長さ、せん断補強筋、柱主筋を変化させた露出柱脚の要素実験を行った。実験結果として、露出柱脚の最大耐力は柱主筋に依存することが分かった。今後の課題として、露出柱脚の力学モデルを作成し、残存耐力や最大耐力を定量的に評価する。さらに、露出柱脚における柱主筋の側面剥離破壊に関する実験計画を行っている。 その他、2021年2月13日に起きた、福島沖の地震に関する免震建物の被害調査を行った。この調査では、現行の免震建物における改善すべき問題点を発見した。他にも、損傷制御型トラス梁の論文など、建築物の継続使用に関する論文の執筆に着手している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は、新型コロナウイルス感染症予防のため、長期間にわたって実験施設を含む大学構内への入構制限が行われました。私は、この期間に実験・解析データの整理、および実験計画を精力的に進めました。 具体的には、これまでに得た実験・解析データの分析を進め、当該分野で権威ある日本建築学会構造系論文集、および構造工学論文集の2編に論文を投稿し、いずれも採択されるに至りました。また、実験計画に関しては、緊急事態宣言が解除された後に本学での実験施設利用が可能となった際に、すぐに実験を再開することができました。現在も精力的に実験データの整理・分析を行っており、更なる研究成果が期待できます。 以上より、私の研究進捗状況については、「当初の計画以上に進展している」と評価します。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度からは、損傷した試験体に対して増し打ちおよびアンカーボルトの締め直しによる被災後補修を行い、補修効果を確認するための実験を実施する。その他、発錆・塗装したアンカーボルトの要素実験を行い、錆・塗装がアンカーボルトの締め直しの施工性に及ぼす影響について確認する。ここまでの研究成果を「鋼部材の被災後補修に関する研究(その3)露出柱脚の増し打ちによる被災後補修」として論文を執筆する。 さらに、2質点系せん断モデルのプログラムを用いて2つの解析を行う。1つ目は、天井ブレースの補修効果に関する解析である。2つ目は、体育館のバランスの悪い補修が建築物の変形抑制効果に及ぼす影響について確認する。 その他、2011年東北地方太平洋沖地震で被災した建築物の補修について実態調査を行う。これにより、実際に行われた補修方法と本研究で提案された補修方法の比較を行う。
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