2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J14351
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
岡崎 友紀 大阪府立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 流動抵抗低減 / 非等方性多孔体 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度では多孔体近傍乱流の不安定波を消波する多孔体構造として①表面に二次元構造粗さを有する多孔体と②非等方構造を有する多孔体近傍乱流の詳細計測を行った. ①前年度までは粗さ高さの1倍および9倍の粗さ間隔のケースにおいて透過性の異なる2種類の多孔体の計測を行った.2020年度ではさらに高い透過性を有する多孔体近傍乱流の計測を行った.また粗さ間隔に関して3倍,7倍となる粗さ形状のケースの計測を行った.その結果高透過率の粗さ形状の場合,粗さ間隔が広くなるにつれて乱れが減少する傾向を確認した.これの結果から溝幅が広くなるに伴い不安定波が弱体化するものの,顕著な抵抗低減には至らないと結論づけた. ②文献上で示唆されている抵抗低減をもたらす多孔体の条件である主流方向の透過率が垂直方向の透過率より大きくなる多孔体設計を行った.実際に設計した多孔体はフラットな金属メッシュとそれを波状に加工したものを交互に積層したダンボール状の多孔体で,垂直方向透過率の18倍程度の主流方向透過率を有する高空隙率多孔体であった.この多孔体が抵抗低減に対してどの程度の効果を発揮するかを試験するために挟流路の底面に敷き詰め多孔体上乱流の詳細計測を行った.その結果,流路中央断面において対数速度分布が滑面境界層の分布よりわずかながら上方にシフトする結果を得た.これは流動抵抗と非常に関連のある対数速度分布の下方シフト量(粗さ関数)が負の値を取るということであり,多孔体界面でわずかに流動抵抗低減が実現していると考えられる.速度分布だけでなく,その他の乱流統計量からも乱れの減少を示唆する傾向が得られているものの,上に示した粗さ関数が非常にわずかであった点,また流路中央断面の速度分布のみによる検討結果であり流路全体で実際にどの程度抵抗が下がるのかについては議論の余地が残されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本課題研究では,多孔体表面に発生する乱流の特性が表面形状や多孔体の構造によってどのように変化するかを実験的に詳らかにし,さらにその理解から流動抵抗低減を実現する壁面構造の探索を検討項目としている.2020年度の取り組みにおいては,系統的な実験を積み重ね,そのデータの生理から多孔体界面乱流における速度分布のスケーリング則の基礎を構築できたと言ってよい.成果をまとめて論文化したものは英文学術誌に投稿し1度目の査読審査を受けたあと,改訂版提出済みで現在最終判定の待機中である.またこれまでの関連研究が評価されて,2020年度日本機械学会関西支部賞(研究賞)を受賞した. また本研究によって理解が進んだ多孔体の特性と乱流の関係から,流動抵抗低減をもたらす多孔体構造の発案をし,試作して予備実験によりその効果を確認したので,特許出願している.(特願2021-032788;2021.3.2) 以上のように2020年度における研究の進展はコロナ禍によりキャンパス閉鎖の影響があったにもかかわらず,顕著であり研究業績も期待した以上のものであったと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で検討した多孔体をさらに精度良く実現することでより精度の高いデータで多孔体の抵抗低減性能を評価する事から始める.また多孔体表面の流動抵抗を直接評価するために,流れ場の二次元性が十分担保されている幅の広い流路に敷き詰め界面流動の計測を行う.さらに流動抵抗低減のメカニズムを調査するために多孔体表面のケルビン・ヘルムホルツ不安定波がどのように変調しているかを多孔体界面の渦構造を議論する. 文献上では主流方向透過率と垂直方向透過率の比をさらに大きくすることで飛躍的な抵抗低減が達成できると報告されている.そこで上記と並行して,より目の細かい金属メッシュを用いて波の振幅やピッチを大きくした多孔体構造を作成し,その界面乱流ではさらなる抵抗低減が実現するか検証する.
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Research Products
(9 results)