2020 Fiscal Year Annual Research Report
優れた触媒特性の発現を目指した3d遷移金属錯体の構築
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20J14383
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Research Fellow |
後藤 玄 関西学院大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 遷移金属錯体 / 有機ホウ素/窒素化学 / 合成化学 / 構造有機化学 / π共役化合物 / 分子内環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
Ru, Rh, Pdなどの4d遷移金属は,炭素-炭素,炭素-ヘテロ元素結合の形成反応において有用な触媒として広く用いられているが,経済性や環境調和性に課題が残る。これに対し,3d遷移金属は,高スピン状態をとりやすいため,配位子の解離による触媒失活により触媒回転数が小さくなるという問題がある。一般に3d遷移金属触媒は,この問題を防ぐためにpincer型や環状型などの3座キレート配位子を用いることで,金属錯体をエントロピー的に安定化させる試みが行われてきたが,後者は中性配位子がほとんどであり,配位飽和となるために触媒反応への応用が限られる。そこで,強固に3d遷移金属に配位する環状型配位子として,ピリジン環1つとベンゼン環2つからなるジア二オン配位子を設計し合成を行なった。配位子に対して3d遷移金属よりも原子半径の大きなイリジウム元素の導入を試みたところ,イリジウムヒドリド錯体の合成および単結晶X線構造解析に成功した。 近年,ホウ素と窒素を埋め込んだ多環芳香族炭化水素(BN-PAHs)は新しいオプトエレクトロニクス材料として応用できる可能性があるために大きな注目を集めている。しかし,これまでの研究は,電荷的に中性の化合物に限られており,カチオン性のBN-PAHs(BN-PAHs+)に関する研究は,その不安定性のために立ち遅れてきた。一方で,ジアニオン配位子の有するピリジン環を配向基としたC-Hホウ素化反応を駆使することで,新たなBN-PAHs+の合成および単結晶X線構造解析に成功した。ここで得られた分子構造をもとに,カチオン性のホウ素と窒素ユニットをπ骨格に埋め込むことで伴う化学的・物理的特性の変化を量子化学計算を用いて解明した。さらに,得られたBN-PAHs+とπ電子系アニオンからなるイオン集積体の合成および単結晶X線構造解析に成功し,これらの成果を学術論文として報告した。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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