2020 Fiscal Year Annual Research Report
ジアニオン触媒と光反応を組み合わせた立体選択的C-Hフッ素化反応の開発
Project/Area Number |
20J14430
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
丹羽 智紀 静岡県立大学, 薬食生命科学総合学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | フッ素化学 / 不斉触媒反応 / 相間移動触媒 / ラジカル反応 / 光反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ素は特異な性質を有するため、有機分子中に組み込むことで化合物の立体的な性質をほとんど変えずに生物学的な性質を大きく変えることができる。そのため、医薬品や農薬の分子構造にフッ素を導入することは重要な課題である。 本研究では、自身の開発したジアニオン型相間移動触媒とフッ素化剤とのイオン対形成を光反応によるC-H結合の活性化と融合させる方針で研究を開始した。まず、計画に従ってベンゾフェノンなどのケトン触媒によるC-H結合の活性化と発生したベンジルラジカルのフッ素化を相間移動触媒条件において調査した。しかしながら、種々の条件を検討したが、相間移動触媒反応に必要な低極性溶媒中ではケトン触媒による炭素ラジカルの生成効率が著しく低く、C-Hフッ素化は進行しないことが明らかとなった。 そこで、別手法により炭素ラジカル種を発生させ、このものをキラルフッ素化剤と反応させることが可能かどうかも検討した。炭素ラジカル前駆体として検討した中で、有機ホウ素化合物からアルキルラジカルを間接的に発生させたところ、収率の改善が必要であるものの、相間移動触媒条件において炭素ラジカル種のエナンチオ選択的なフッ素化が中程度の選択性で進行することを見出した。この結果は、フリーな炭素ラジカル種の立体選択性が系内で発生させたキラルなフッ素化剤によって制御可能であることを示しており、間接的なラジカル発生法を直接的C-H活性化で置換できれば、目的とするC-H不斉フッ素化に繋がることを示唆している。炭素ラジカル種の発生速度とラジカル種のフッ素化の速度のバランスを適切に調整することが必要であると考えており、引き続き炭素ラジカル発生法の検討を継続し、効率的なラジカル的不斉フッ素化の開発を目指す。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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