2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J14713
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
黒川 陽太 山口大学, 創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | Network on Chip / 耐故障ルーティング法 / 2D mesh NoC |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,耐故障性を有する小面積で高性能なネットワークオンチップ(NoC)型のメニーコアシステムを実現することである.そのために,ハードウェアとソフトウェアの両側面から,システムの通信性能の向上を図る.故障箇所を避けるための従来の耐故障ルーティング法では,コア(処理装置)とルータ(通信装置)をノードとするネットワーク上でパケット通信を行う際に,故障ノードを非効率的に迂回することにより,通信遅延が増加する問題があった.この問題に対して,本年度は,ハードウェアの側面から,(1)ネットワークを拡張するアプローチと(2)ルータの故障モデルを改良するアプローチの両アプローチを考案し,それを基にした新たな耐故障ルーティング法を提案した. (1)においては,ノードの周辺にスイッチとリンクを追加することでネットワークを拡張し,ノードが故障した場合に,当該ノードをパケットが通過することを可能にした新たなネットワークアーキテクチャを考案した.このアーキテクチャを基に,耐故障ルーティング法を提案し,その結果,ネットワークサイズやノード故障率などを変化させた場合,提案手法の通信性能が従来の手法よりも90%以上高いことを明らかにした. (2)においては,個々のルータのアーキテクチャに着目し,ルータの一部が故障した場合でも通信機能が縮退したルータとして動作させることを可能にした新たな故障モデルを考案した.この故障モデルを基に,これまでにない非対称なルーティングを可能にする耐故障ルーティング法を提案し,上記と同様に,性能評価を行い,提案手法の通信性能が従来手法よりも68%以上高いことを明らかにした. これらの結果から,本手法を備えたシステム上で並列プログラムを実行する場合,コア間の通信の待ち時間を減少可能であるため,プログラムの実行時間が減少することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り,ハードウェアの側面から問題の解決を図るために,故障ノードを通過することが可能なアーキテクチャを基にした耐故障ルーティング法やルータのアーキテクチャに着目してルータを効率よく使用することが可能な耐故障ルーティング法などを提案した.それぞれの手法において,ネットワークサイズやノード故障率,パケット長,パケット生成率など様々なパラメータを用いて提案手法の性能を明らかにするために評価を行った.その結果,提案手法の通信遅延は低く,スループットやノード使用率は高いことを明らかにした.これにより,これらの手法は,システムを高性能化するにあたり有効な手法の一つであることを示した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,これまでと同様にハードウェアの側面に加え,ソフトウェアの側面から問題解決に取り組む.その中で,耐故障ルーティング法で選択される通信経路を考慮した耐故障タスクマッピング法を考案し,故障パターンやタスクの発生パターン,タスク構成などを変更して通信性能を明らかにする.
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