2020 Fiscal Year Annual Research Report
The role of tumor microenvironment in aggressive NK-cell leukemia
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20J14747
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
亀田 和明 自治医科大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | アグレッシブNK細胞白血病 / 異種移植マウスモデル / 肝臓 / 類洞 |
Outline of Annual Research Achievements |
アグレッシブNK細胞白血病(ANKL)という難治性血液がんの病態解明を目指して研究を行った。まれな病気であり、患者さんの検体だけでは詳細な解析を行うことが困難である。そのため、白血病モデルマウスの作成を試み、成功した。年間で数百万人に一人しか発症しないというまれな病気であるにもかかわらず、患者さんから細胞をいただくことで4系統のモデルを作成することができた。作成したマウスモデルを、フローサイトメトリーや顕微鏡などを用いて経時的に解析することで、この病気が今までは骨髄で増えると考えられていたのが、実は主に肝臓の類洞という部位で増殖するということを発見した。さらに肝臓に指向性が強い腫瘍細胞は、脾臓指向性細胞よりも増殖が速く、白血病マウスの生存を悪化させるということが分かった。 次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析と、コンピューターを用いた分子ネットワーク解析プログラムを組み合わせて、どのような分子が肝臓で白血病増殖をサポートしているのかを検証した。その結果、白血病の生存・増殖に関与している可能性がある複数の分子を見つけることができた。さらにはCRISPR-Cas9というゲノム編集技術を用いて、白血病の受容体の機能を喪失させることで、どの受容体が白血病の生存・増殖に関わっているのかを調べる手法を確立した。個々の患者さんからいただいた白血病細胞を元にしたモデルマウスで詳細な解析を行う技術は、将来の個別化医療の発展にもつながるものである。 また体外での腫瘍細胞増殖に必要な分子の同定も進めた。こちらも特定の低分子が生存に重要であることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで詳細な病態が分かっていなかった、アグレッシブNK細胞白血病が主に肝臓で増えるという知見はこれまで知られていないものである。また複数の異種移植マウスモデルを樹立して病態の解析を進める研究もこれまで報告されていない。これらの成果は、今後のこの白血病の病態解明や新規治療法開発にも役立つものであると考える。一方、CRSIPR-Cas9を用いたマウス生体内での白血病細胞の機能喪失解析は予定よりも遅れた。一番の原因は、新型コロナウイルス感染症の流行により共同研究先の施設へ立ち入ることが難しくなったためである。その結果、自施設で実験系を立ち上げる方針に切り替えた。当初よりも時間はかかったが、無事に実験系を立ち上げることができた。 生存に必要な分子を体外培養系で同定する研究についても並行して進めた。こちらは、最終的に特定の低分子を同定することができた。ただ、本研究で用いている患者由来細胞が、元々は体外で生存・増殖が困難であるため、細胞培養系での詳細な解析はできていない.
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍微小環境において機能している可能性がある分子ネットワークを明らかにすることができた。次の課題は、それらの分子が実際に腫瘍細胞の生存・増殖に関わっているのか確かめることが必要である。これまでに確立することができたCRISPR-Cas9システムを用いた実験系で、腫瘍細胞の受容体機能を喪失させ、白血病進展を遅らせることができるかを検証する。また可能であれば阻害抗体を入手して、マウスモデルで治療効果を検証する。同定した分子が実際に患者検体でも発現しているのかも検証が必要である。そのために、患者病理標本を入手に努める。
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Research Products
(3 results)