2020 Fiscal Year Annual Research Report
スーパーカミオカンデを利用した超新星ニュートリノの研究
Project/Area Number |
20J14908
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
森 正光 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
|
Keywords | 超新星爆発 / ニュートリノ |
Outline of Annual Research Achievements |
超新星爆発の理論面での研究では1次元シミュレーションにて超新星爆発の爆発に成功し、その親星を20秒まで追うことができた。重力崩壊からの一貫した計算ではこれは世界記録であり、この成果を学術論文にまとめた。 次に、実験方面の研究では、スーパーカミオカンデ(SK)において超新星爆発観測時に内部検出器の全体積を使っての解析に向けて、イベントの再構成精度と背景事象の評価を行った。これはSKの低エネルギー領域の解析では初の試みである。その結果、10 MeVのエネルギーのイベントに対しては背景事象は十分少なく有効体積外のイベントも解析に使えることを明らかにした。 最後に、長時間シミュレーションとSKの背景事象解析の応用としてSKを使っての超新星爆発探索を行った。SKは24時間体制で超新星爆発をモニターしているが超新星爆発が遠くで起こった場合は反応せずにデータが記録されている可能性がある。この遠い超新星爆発を探索した。前述の長時間計算の超新星爆発モデルを仮定し、背景事象の分布よりカット条件を決めた。結果100 kpc以内で0.29 SN/yearという制限を付けた。これは、先行研究を更新する制限で、現在この結果をまとめる学術論文を執筆中である。また、以上の結果をすべて学位論文にまとめて博士の学位を取得した。 今後の展開としては、たくさんの1次元で爆発する親星を作り、それらを長時間計算することで系統的なニュートリノ放射のデータベースを作るっことである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は上記の研究課題に対して順調に進捗し、大きな成果がでたと評価されるものと考える。まず、超新星爆発の理論面での研究では1次元シミュレーションにて超新星爆発の爆発に成功し、その親星を20秒まで追うことができた。重力崩壊からの一貫した計算ではこれは世界記録であり、この成果を学術論文にまとめた。 次に、実験方面の研究では、スーパーカミオカンデ(SK)において超新星爆発観測時に内部検出器の全体積を使っての解析に向けて、イベントの再構成精度と背景事象の評価を行った。これはSKの低エネルギー領域の解析では初の試みである。その結果、10 MeVのエネルギーのイベントに対しては背景事象は十分少なく有効体積外のイベントも解析に使えることを明らかにした。 最後に、長時間シミュレーションとSKの背景事象解析の応用としてSKを使っての超新星爆発探索を行った。SKは24時間体制で超新星爆発をモニターしているが超新星爆発が遠くで起こった場合は反応せずにデータが記録されている可能性がある。この遠い超新星爆発を探索した。前述の長時間計算の超新星爆発モデルを仮定し、背景事象の分布よりカット条件を決めた。結果100 kpc以内で0.29 SN/yearという制限を付けた。これは、先行研究を更新する制限で、現在この結果をまとめる学術論文を執筆中である。また、以上の結果をすべて学位論文にまとめて博士の学位を取得した。以上のように本研究は順調に進んだものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、超新星爆発の長時間計算の手法自体は確立できたものと考えられる。次の方針としては、多数の1次元で爆発する親星を作り、系統的に長時間のニュートリノ放射をまとめることである。また、現在は1次元での計算となっているため、重い親星の超新星爆発で重要と考えれている多次元効果を考慮することができない。しかし、それを1次元シミュレーションに模擬的に多次元効果を導入する手法を用いて自らのシミュレーションに組み込むことを考えている。
|