• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Annual Research Report

ビッグバン元素合成でのベリリウム7分解反応が宇宙リチウム問題に与える影響の研究

Research Project

Project/Area Number 20J14920
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

石川 竣喜  東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2022-03-31
Keywords実験の遂行 / 標的作成 / 論文投稿
Outline of Annual Research Achievements

本研究では本年度、リチウム7の主な生成源とされるベリリウム7の分解反応(7Be+n→7Li+p)の反応率を実験的に導出するため、標的としてフッ化リチウム薄膜標的を使用し、入射ビームとして30-MeVのヘリウム3ビームを照射する7Li+3He→8Be+d反応を観測する実験を計画し、そのテスト実験を日本原子力研究開発機構(JAEA)において行った。以下にその過程と詳細を述べる。
まず筆者は測定で使用する薄膜標的の作成を試みた。高統計・高分解能測定に向けて安定で可能な限りバックグラウンドが少ない標的を用意する必要があるため、リチウム7を含む酸化リチウム、炭酸リチウム、フッ化リチウムの3種類の標的作成を試みた。蒸着法とスパッタ法を用いて試行錯誤し、結果的にフッ化リチウムを炭素バッキングに蒸着させる方法が最も安定した標的を作るのに適していることがわかった。この薄膜標的に関する研究から、筆者は2種類のフッ化リチウム(リチウム6とリチウム7)標的の作成に成功し、また、バックグラウンド差し引き用の炭素標的とテフロン標的を用意した。
続いて、作成した薄膜標的の厚み測定と、それら標的に含まれる不純物の特定と定量化を行うため、2020年6月にJAEAのタンデム加速器を用いてヘリウム3弾性散乱事象の測定実験を行った。2台のシリコン検出器を用いたΔE-E法により、標的厚とその不純物の定量化に成功した。また、2021年1月にフッ化リチウム標的を用いた7Li+3He→8Be+d反応測定のテスト実験を、ENMA磁気分析装置を用いて行った。この実験で目的のベリリウム8共鳴エネルギー領域における実験データの取得に成功し、先行研究で報告されていた共鳴状態の確認と分解能の測定も行うことができた。
最後に筆者は、本研究目的のために2018年に行った別実験で取得したデータの解析を続け、指導教員と共著で投稿論文にまとめた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

初めに、年度初めである4月に東北大学において新型コロナウイルス感染拡大防止のため、行動指針(BCP)レベルが「4」に引き上げられ学生の学内立ち入りと出張が原則禁止された。このため研究活動が大幅に制限され、自宅において①日本原子力開発機構(JAEA)で2018年に取得した実験データ解析作業の続き、②JAEA実験の共同研究者とのオンラインミーティング、そして③ドイツにあるGSIヘルムホルツ重イオン研究所との共同研究をオンラインで行うことに専念した(GSIでの国際共同研究については「JSPS-DC2申請書」にて言及。筆者は修士1年次から携わっており、これまでに行った約3年間の実験準備の成果が実り、2020年5月に5日間の測定実験を遂行することができた。筆者はオンラインで実験に参加し、実験中の解析作業等に貢献している)。
また、本研究の実験準備のために活動を再開できたのは6月ごろであり、当初予定していた標的作成とテスト実験の遂行を試みるが、測定システムの電源基盤が故障するという致命的な問題が発生し、テスト実験を延期せざるを得ない状況となった。このため、本実験の遂行を、本来博士論文執筆に専念すべき博士後期課程3年次に行う予定になるため、本研究の進捗状況は「遅れている」と言わざるを得ない。

Strategy for Future Research Activity

まず2021年1月に行ったテスト実験によって、目的のベリリウム8共鳴状態の測定には当実験で測定した7Li+3He→8Be+d反応が有望であることが確認できた。しかしながら、十分なビーム強度での実験ができなかったため、最終的な「高統計・高分解能」の本実験を達成するための測定条件最適化方法を導出するべく、再度テスト実験を行う必要がある。このテスト実験は2021年5月に予定されており、4日間の実験期間で「可能なビーム強度」「最適な標的厚」「測定システムの設置条件」等を調べる。ここで、この実験を遂行しデータの取得に成功した際、我々のグループが過去の実験(2018年)や2021年1月に行った実験で確立した解析方法をもとに迅速にデータ解析を遂行することができる。
次に、最適化された実験条件に基づいて本実験を最終年度内に遂行する予定で、それは2021年10月を予定している。本実験ではフッ化リチウム薄膜標的を用いた7Li+3He→8Be+d反応で生成されたベリリウム8が陽子崩壊し、リチウム7の基底状態と第一励起状態に崩壊する事象の測定を行う。この本実験で得られるデータの解析方法に関しても、2018年に取得したデータの解析で確立した解析方法が応用でき、かつ2021年1月に行った実験から分かった当反応の有望性から、目的のベリリウム8共鳴状態の陽子崩壊分岐比を導出できると考えている。
そして、実験的に得られた崩壊分岐比を用いて、BBNにおけるリチウム7の主な生成源であるベリリウム7の分解反応(7Be+n→7Li+p)の反応率を導出する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2021 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Experimental study of the Γp1/Γp0 ratios of resonance states in Be8 for deducing the Be7(n,p1)Li*7 reaction rate relevant to the cosmological lithium problem2021

    • Author(s)
      Iwasa N.、Ishikawa S.、Kubono S.、Sakakibara T.、Kominato K.、Nishio K.、Matsuda M.、Hirose K.、Makii H.、Orlandi R.、Asada K.、Guru D.、Nishimura S.、Hayakawa S.、Kawabata T.
    • Journal Title

      Physical Review C

      Volume: 103 Pages: 015801

    • DOI

      10.1103/PhysRevC.103.015801

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 9Be(3He,a)8Be*->7Li+p反応測定を用いた、宇宙リチウム問題への7Be(n,p1)7Li*反応の影響の研究2020

    • Author(s)
      石川 竣喜, 岩佐 直仁, 久保野 茂, 西尾 勝久, 朝田 晃世, 榊原 昂浩, 小湊 和也, 早川 勢也, 廣瀬 健太郎, 川畑 貴裕, 牧井 宏之, 松田 誠, 西村 俊二, Riccard Orlandi
    • Organizer
      日本物理学会

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi