2020 Fiscal Year Annual Research Report
ホスファチジルイノシトールの特徴的脂肪酸鎖の変化による脂肪肝発症機構の解明
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20J14922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田中 悠貴 東京大学, 薬学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | リン脂質代謝 / ホスファチジルイノシトール / NAFLD / NASH |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患 (NAFLD)は、単純性脂肪肝と肝炎・線維化を伴う非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の総称であり、世界的に有病率が急増している。最近、ゲノムワイド関連解析からリン脂質代謝酵素であるLPIAT1 (Lysophosphatidylinositol acyltransferase 1)の機能減弱型SNPがNAFLDの発症リスクとなることが報告され注目されている。LPIAT1はホスファチジルイノシトール (PI)にアラキドン酸を導入する酵素であり、LPIAT1を欠損したマウスの組織ではアラキドン酸を含有するPI量が著しく減少する。これまでに当研究室では肝細胞特異的LPIAT1欠損マウスが脂肪肝を自然発症すること、またPIの脂肪酸組成の変化に伴いPIの代謝回転(合成と分解)が亢進し、分解されたPIが中性脂質であるトリグリセリド合成に使用されるという脂肪肝発症機構を明らかにしている。LPIAT1欠損マウスの肝臓でPIの分解を担う酵素はPIの脂肪酸組成を認識する酵素であることが予想されるが分子実態の解明には至っていない。そこで私はPIの脂肪酸組成の変化を認識してアラキドン酸を持たないPIを分解に導く酵素の同定を試みた。 まずPIの分解に関する経路の同定を試みた。その結果LPIAT1欠損肝細胞ではホスホリパーゼCによるPIの分解が活性化していることが明らかになった。また発現抑制実験から既知のホスホリパーゼ活性を持つタンパク質はこのPIの分解に関わらないことが明らかになった。以上の結果からLPIAT1欠損肝細胞では未知のホスホリパーゼC活性を持つ酵素がPIの分解を担っていることが示唆された。本酵素は未だ治療法のないNAFLDの治療標的となりうる可能性があり分子実体の解明が期待される。
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Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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