2020 Fiscal Year Annual Research Report
電磁的情報漏えいの脅威に対抗するトロージャンフリーなハードウェア設計技術の開拓
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20J14937
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
鍛治 秀伍 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 電磁波セキュリティ / サイドチャネル攻撃 / 意図的電磁妨害 |
Outline of Annual Research Achievements |
電磁波照射による強制的な電磁的情報漏えいの脅威に対抗するセキュアなハードウェア設計技術の確立のため、(1)潜在的なトロージャンとなりえる機器の回路構造の同定と(2)潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいのメカニズムについて検討した。 (1)の潜在的なトロージャンとなりえる回路構造の同定に関しては、複数の実デバイスに対して電磁的情報漏えいの評価を実施し、漏えいのターゲットとなる信号を出力するICの出力回路に含まれる出力バッファが潜在的なトロージャンとして動作することを明らかにした。 (2)の潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいメカニズムに関しては、漏えいのターゲットとなる信号を出力するICの出力バッファを抽出した評価回路を作成し、ICの出力状態に応じた応答を観測できる評価系を構築した。構築した評価系を用いてICの出力バッファの出力インピーダンスを計測し、出力状態と照射する電磁波の周波数に応じて、それらが変化していること発見し、出力インピーダンスのわずかな差異が出力信号の漏えいを引き起こしていることを明らかにした。 さらに、潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいによる脅威をより高精度に評価する手法として、機器に照射する電磁波による漏えい信号の劣化を防ぐ手法を提案した。この手法により、従来の評価手法では強制的な電磁的情報漏えいが確認されていなかった周波数においても漏えいが観測され、従来手法に対して高精度な評価が可能であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、(1)の潜在的なトロージャンとなりえる回路構造を同定すると共に、(2)の潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいが引き起こされるメカニズムについて検討を進めており、当初の計画をおおむね達成している。また、次年度の目標の1つである潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいの耐性評価法についても検討を進めており、既に電磁波照射による漏えい信号の劣化を防ぐ手法を提案し、学会で発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいのメカニズムのより詳細な解明を進めると共に、潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいの耐性評価法を提案する。そして、潜在的なトロージャンによる電磁的情報漏えいへの耐性を持つ回路構造を与えることで、トロージャンフリーなハードウェア設計技術の開拓を目指す。さらに、潜在的なトロージャンによる漏えい耐性を持つ回路構造は意図的な電磁妨害への耐性向上にも寄与できる可能性があるため、提案する回路構造が他の脅威への対策技術として応用できる可能性についても検討する。
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