2020 Fiscal Year Annual Research Report
Reproducing Visual Appearance by Optical See-Through Head-Mounted Display based on Measurement and Modulation of Light Rays
Project/Area Number |
20J14971
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
廣井 裕一 東京工業大学, 情報理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 光学シースルーHMD / 拡張現実感 / 質感再現 / 奥行き知覚 / 視力特性推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
光学シースルー頭部搭載型ディスプレイ(Optical See-Through Head-Mounted Display, OST-HMD)において、眼に入る光線を直接計測・変調することにより、現実と視覚的に不可分なバーチャル物体の質感を再現する研究において、今年度は下記の進捗があった。 「視覚特性の推定」について、拡散波面センサ(Diffusive Wavefront Sensor, DWFS)を網膜投影型OST-HMDと組み合わせる、装着者の眼のレンズ収差を測定しながら、収差に応じた焦点ボケを再現した映像を提示するシステムを実装した。DWFSは薄いホログラフィック素子をイメージセンサと組み合わせ、コースティクスを検出することで波面の歪みを計測するセンサであり、従来の波面センサの測定範囲を広げるとともに、装置の小型化が期待されることを示した。 「光学特性の表現域が広い映像提示システム」について、位相空間光変調器(Phase-only Spatial Light Modulator, PSLM)を用いた光線の位相変調を用いたOST-HMDシステムを実装した。直交する偏光板と複数のPSLMを組み合わせ、画素単位で入射光のカラーフィルタリングを行う光減衰型OST-HMDの色域を改善した。このディスプレイは、色域の国際標準規格であるsRGBのうち75.8%の色域を表現し、従来の1台のPSLMによる光減衰型OST-HMDに対して1.8倍の色域表現を達成した。また、眼に入る光よりも暗い光を提示する光学遮蔽対応OST-HMDにおいて、連続・曲面のバーチャル物体に対しても、外光の歪みを最小限に抑えながら遮蔽マスクに対して焦点ブラーを提示する手法を提案した。 成果として、拡張現実感技術分野のトップ国際論文誌に一件掲載され、二件が国際論文誌にて査読中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「視力特性推定」について、次年度以降の計画であった眼のレンズ収差の直接測定について成果を得た。レンズ収差計測については、既存手法では困難な視力の直接測定が可能な点で独自性と有用性があり、今後の研究を大きく推進する成果であると期待される。 「広い光学特性の表現域を持つ映像提示システム」について、本年度までの計画であった色域およびダイナミックレンジの向上に加え、次年度の計画の一部であった入射光の直接変調に基づく焦点ブラーの再現についても成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
「視力特性推定」について、本年度に確立した視力特性推定と映像提示を同時に実現するOST-HMDシステムの拡張を進める。具体的には、乱視等の高次収差測定法の確立や、実用に向けたシステムのリアルタイム性向上や小型化を検討する。 「広い光学特性の表現域を持つ映像提示システム」について、本年度で確立した光減衰型OST-HMDに、光加算型OST-HMとの統合や背景色を考慮した提示手法を検討し、ディスプレイ特性のさらなる向上を目指す。また、推定した装着者の視力をPSLMで補償することにより、実環境もバーチャル画像もはっきり見える処方箋メガネとして機能するOST-HMDを目指す。
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Research Products
(10 results)