2020 Fiscal Year Annual Research Report
幾何マルチグリッド法による非構造人体解析の高速・高精度化の研究
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20J15006
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
野村 政宗 宮崎大学, 農学工学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 数値人体モデル / 静電界解析 / 階段近似誤差 / メッシュスムージング / マーチングキューブ法 / 幾何マルチグリッド法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ボクセルベースの数値人体モデルを用いた大規模静電界解析において,皮膚や脂肪などの階段状の異材境界に現れる,階段近似誤差に起因する電界の過大評価を緩和させるため,マーチングキューブ法を応用したメッシュスムージング手法の開発を行った.精度の比較のため,2つの異種境界からなるボクセルベースの球体モデルを作成し,そのモデルに対し,開発したメッシュスムージング手法を適用した.ボクセルベースの球体モデル,ボクセルベースの球体モデルをメッシュスムージングしたモデル,そして参照値用にCADより表面パッチを用いて作成された異種境界における階段近似誤差のないCAD由来モデルを作成し,静電界解析を行い,3つのモデルの精度評価を行った.結果的に,3つのモデルを比較した静電界解析結果の可視化図より,開発したメッシュスムージング手法を用いることによって,ボクセルベースの球体モデルに比べて,異材境界付近の電界の過大評価を緩和させることができ,また参照値であるCAD由来球体モデルの電界の値にメッシュスムージング球体モデルの値が近づくことが分かった.これより,マーチングキューブ法によるメッシュスムージングの有効性を示すことができた.しかしながら,実際に数値人体モデルに開発したメッシュスムージング手法を適用する際,2種境界以外に,マーチングキューブ法で取り扱うことのできない3種境界のスムージングも考慮しなければならないことが分かった.このことから,マーチングキューブ法の概念を取り入れた新しい3種境界用のメッシュスムージング手法を考案・開発し,数値人体モデルに適用したところ,3種境界がきれいにスムージングされていることを確認し,開発したメッシュスムージング手法の数値人体モデルにおける有効性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目の研究計画は,マーチングキューブ法を応用したメッシュスムージング手法の開発及び,そのスムージング手法の精度評価であり,研究計画通り,マーチングキューブ法を用いて,コンピュータプログラミングの面での技術的な問題もなくスムージング手法の開発を行うことができた.しかしながら,数値人体モデルに適用した結果,うまくメッシュスムージング出来ていないことが分かり,調査した結果,マーチングキューブ法では対応できない3種の異材境界を考慮しなければならないことが分かった.この問題は当初研究計画では予想していなかった問題ではあるが,マーチングキューブ法の概念を取り入れたメッシュスムージングを考案することによって,3種境界の問題は解決すことができた.また,精度評価の面に関しても,理論値のあるモデルではないが,階段近似誤差のないCAD由来モデルを参照値として比較することにより,メッシュスムージング手法の精度評価を行うことができた.このことから,研究計画通り,研究はおおむね順調に進んでいると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,おおむね順調に進んでおり,今後の研究課題の推進方策については,現在開発しているメッシュスムージングを適用したモデルにさらにメッシュスムージングをかける2段階のメッシュスムージングの適用を考えている.2段階目のメッシュスムージング手法としては,機械学習+ラプラシアンスムージングを用いた手法の開発を予定している.この2段階メッシュスムージングの案は,当初研究計画にはなかったが,さらに高精度な静電界解析を期待できるということから適用を考えている.また,メッシュスムージングされた1億以上の要素を持つ,数値人体モデルを用いた大規模静電界解析のためのメモリ,HDD,計算機の導入などの並列計算機環境の構築を行い,大規模静電界解析を行い,オリジナルのモデルとメッシュスムージングモデルの間での階段近似による電界の過大評価の比較,また,幾何マルチグリッド法と他の線形代数ソルバーの比較による,計算時間の評価なども行っていく予定である.
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