2021 Fiscal Year Annual Research Report
溶連菌による天然変性蛋白質を介した宿主ホスホイノシタイドシグナル攪乱機構の解明
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20J15080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 博貴 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | A群レンサ球菌(溶連菌) / ホスホイノシタイド / ショットガンプロテオミクス / NAD-glycohydrolase / 相互作用分子 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、溶連菌毒素Ngaによる宿主リン脂質ホスホイノシタイドへの撹乱機構の背景にあると考えられる宿主分子の同定を試みた。Ngaと相互作用する宿主分子の網羅的な同定を目的としてショットガンプロテオミクスを実施した。具体的には、HeLa細胞に一過的にmClover3との融合タンパク質としてNgaを発現させ、GFP-trapを用いた免疫沈降によりNgaと相互作用分子を精製し、質量分析を用いて網羅的に同定した。その結果、同定された候補分子の中には、宿主の細胞骨格分子が含まれていた。この細胞骨格分子との相互作用については、再度HeLa細胞に発現させ、免疫沈降とWestern blotを用いた実験でも再現され、非特異的な相互作用でないことが確認された。さらに、既知のタンパク質間相互作用がまとめられている生物学データベースであるString databaseを用いて、今回推定された相互作用分子群の機能的解析を実施したところ、同定された多くの分子のGene ontology (生物学的プロセス)が宿主細胞におけるタンパク質合成を担う翻訳経路にあることを見出した。そこで、アミノアシルtRNAと構造が似ていることで翻訳中のリボソームに取り込まれるPuromycin の性質を用いた新規合成タンパク質の定量法SUnSET(Surface sensing of translation)法を用いて、溶連菌感染時におけるNgaによる宿主翻訳系への影響を確認した。その結果、Ngaによって宿主の新規タンパク質合成が低下していることが明らかとなった。したがって、溶連菌毒素Ngaには、細胞骨格との相互作用および宿主翻訳系に対する抑制機構を有することが示唆された。 これらの知見は、溶連菌毒素Ngaによる宿主への未知の撹乱機構を解明するための有用な情報となると考えられる。
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Research Progress Status |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)