2020 Fiscal Year Annual Research Report
超音波探傷式流動計測と機械学習による複雑流路欠陥のスマートセンシング
Project/Area Number |
20J15257
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
荘司 成熙 東京工業大学, 工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | 流体計測 / 超音波流速分布計測法 / 欠陥検知 / 多次元流計測 / 超音波アレイセンサ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力発電所などにおける工業配管内流動および欠陥から早期に破断リスクを評価する計測技術を実現するため,超音波流速分布計測法と超音波探傷法を用いた超音波探傷式流動計測システムの開発を目的とし,計測ハードウェアおよび信号処理システムを含むソフトウェア開発を実施するとともに,実流計測への適用性を実験的に検証した.計測ハードウェアとして,適用配管の肉厚や材質にマッチングする超音波周波数を選択的に送受可能な仕様とした.また金属配管等の高音響減衰環境でも信号品質を維持できるよう,超音波パルスの変調による反射波の識別とノイズ成分の抑制を行う超音波送受信回路を設け,従来手法よりも2倍以上のデータレート向上が行えることを実験的に示した.ソフトウェアとして,実環境における高流量場への適用を鑑み,従来のアルゴリズムでは困難であった高流速域の計測が可能な流速計測アルゴリズムを新たに開発し,水平管内流動を計測することで,従来の流速計測範囲を9倍以上拡張可能であることを示した.加え,実機適用性を向上させるため,2次元的に超音波素子を配置した超音波アレイセンサを用い,多方向から速度情報を含む超音波ドップラー信号を取得し,超音波素子配置と計測点の位置関係から3次元流速ベクトルを再構成するシステムを構築した.これを用いた垂直管水流を計測することで,計測の妥当性を検証し,多次元流れを良好に計測できる見込みを得た.また,機械学習による欠陥同定に向け,抽出する特徴量について検討した.亀裂欠陥を模擬した流路に対し,超音波流速分布計測法と超音波探傷法を同時に適用した場合における特徴量として,欠陥エコーピーク値や乱流強度分布が有用であることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
超音波探傷式流速分布計測において必要不可欠な計測ハードウェアの開発および信号処理アルゴリズムの実装を行い,計測性能について実験的に明らかにすることができた.また実機適用性向上を目的とした多次元流計測についての検証および欠陥同定に向けた特徴量抽出についても順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度では,多次元流計測において超音波素子の受信感度角度域に依存した信号品質の低下を改善するため,超音波素子配列の配置を検討するとともに,励振超音波の変調方法を工夫し,計測精度の向上およびその精度評価を行う予定である.また,種々の欠陥における特徴量を抽出し,これに基づいた機械学習手法の適用を検討する.
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