2020 Fiscal Year Annual Research Report
The Individual and the Organization under Legislation on Religion in Contemporary Russia
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20J15416
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
柴田 正義 名古屋大学, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | ロシア法 / 宗教 / 政教関係 / 信教の自由 / 宗教団体 / 教会財産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はロシアの宗教法制のうち、宗教団体の管理・監督・解散に関する資料について、2002年制定の過激主義活動対策法に関する法実務を中心に検討を行った。コロナウイルス禍のため現地調査は断念し、その分遅れが生じたものの、現地の研究者および法律家の協力の下、オンラインで聞き取り調査および資料収集を行い、研究を前進させることができた。以下、2020年度の研究実施状況について記述する。 第一に、これまでに引続き教会財産移転法に関する研究について、①下院の速記録を参照しつつ法制定過程の議論状況を整理することで、同法の制定当初の目的を明確にした。また、②雑多な判例を体系化させ、同法の適用実務に関する分析をブラッシュアップさせた。前年度まで行ってきた先行研究の検討や同法制定以前の教会財産「返還」実務に関する研究に①および②の成果を合わせ、論文「現代ロシアにおける教会財産移転法制の意義(1)(2・完)」を公表した。 第二に、冒頭で述べた過激主義活動対策法に関する研究を進めた。同法は、ロシア連邦内の団体の活動状況を検察が監視し、「過激主義」と認定される場合には解散処分を可能とする法律である。同法の宗教団体に対する適用状況について、裁判例を通して検討した。制定当初、同法の適用はネオナチ団体およびテロ組織に限られていたが、2000年代後半頃より宗教団体に対しても同法の適用が試みられ、2017年のエホバの証人解散事件を通してこれまでの法実務が一転したことを明らかにした。 その他、ロシアの宗教法制の根幹をなす1997年制定宗教団体法に関する資料収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、現地でのフィールドワークや学会発表等をコロナ禍のため断念せざるを得ず、そのために遅れが生じてしまった。対応策として現地の研究者の協力を仰ぎ聞き取り調査・資料収集を行ったが、遅れを十分にカバーすることはできず、当初の計画より半年ほど遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、帝政期~現代の宗教法制に関する資料を収集・分析し、これまでの研究成果と比較することで現代的特徴を析出する予定である。また、1997年制定の宗教団体法についても収集した資料をもとに判例分析を中心に検討する予定である。
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