2020 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気的メタン酸化脱窒とアナモックス複合反応を利用した新規窒素除去システムの開発
Project/Area Number |
20J15423
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
TRAN PHUONG THAO 長岡技術科学大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2022-03-31
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Keywords | DAMO/アナモックス / 植種源 / 窒素除去 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、嫌気的メタン酸化脱窒(DAMO)と嫌気性アンモニア酸化(アナモックス)の複合反応を有し、メタンガスを利用した窒素含有排水の新規生物学的処理リアクターを確立することを目的とする。DAMO微生物およびアナモックス細菌の生育促進のためにバイオマス保持とガス拡散作用を高める中空糸膜を内蔵した上向流リアクターを使用した。実験は、水田土壌(R1リアクター)とDAMO/アナモックス細菌豊富な植種源として既に馴養した汚泥(R2リアクター)を用いてそれぞれ2つのリアクターに接種し、各共培養リアクターにおける窒素除去性能の評価を行った。結果として、R1リアクターは比較的高い硝酸およびアンモニウム除去率を示したものの、両リアクターともに硝酸除去率に比べてアンモニウム除去率は低い状態であった。亜硝酸濃度が低く、アナモックスとDAMO細菌の基質競合の結果としてアナモックス細菌の活性が低い状態であることが示唆されたため、十分量の亜硝酸を供給した。R2ではアンモニウム除去量が急速に増加し12 mg/L/dayに達したが、R1では3 mg/L/dayと低い状態であることがわかった。R1では、消費された亜硝酸とアンモニウムの比率(5.93:1)がアナモックス反応の理論値よりも極めて高く、異なる経路で亜硝酸還元が進行していることが示唆された。R2リアクターではDAMO微生物に有利な条件で運転することで、DAMO活性が確認されたものの、R1ではDAMO反応とは異なる経路で亜硝酸と硝酸が除去されたことが明らかとなった。微生物解析の結果から、これまで報告のあるDAMO微生物は検出されず、メタン資化細菌や脱窒細菌が検出された。このことは、リアクターが示した比較的低い硝酸・亜硝酸還元速度の結果と一致した一方で、メタン資化細菌と脱窒細菌間の共生関係が窒素除去に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、2種類の植種源としてDAMO微生物豊富とされる水田土壌(R1)およびDAMOとアナモックス微生物豊富な汚泥(R2)を用いて、中空糸膜を内蔵した上向流リアクターに硝酸・アンモニウムおよびメタンガスを供給して運転を行った。結果として、DAMO/アナモックスリッチな汚泥を使用したリアクターにおいて、より高いDAMO/アナモックス活性を確認した。また、いずれのリアクターにおいても亜硝酸還元によるアンモニウムの生成が観察され、特にR1リアクターは顕著に進行していた。本研究により、DAMOおよびアナモックス複合反応を誘発する条件としてDAMO、亜硝酸還元反応を制御する必要があることが示唆され、各反応の役割および寄与率を推定するために、それぞれ適した条件での運転系を確立することができた。微生物群集構造解析から、メタン資化細菌と脱窒細菌が検出されたことから、これら細菌間の窒素除去プロセスを探索し、抑制する必要があることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、亜硝酸濃度が不十分であるため、DAMO/アナモックス反応の活性が低い可能性が示唆された。つまり、DAMO古細菌が担う亜硝酸生成がDAMO/アナモックス反応のボトルネックであることが考えられる。硝酸のみを添加した系および硝酸とアンモニアを添加した系では、アンモニア濃度の増加が確認された。そこで、次年度では、硝酸とメタンを添加することでDAMOと亜硝酸還元反応を誘発し、生成されたアンモニアおよび亜硝酸の濃度に対して、アナモックス反応の理論比になるように亜硝酸を供給する。ここまでで得られた情報をフィードバックすることで、DAMO/アナモックス反応が優占する比率で窒素酸化物を供給できると考えられる。最終的にはリアクター内の窒素代謝経路を決定するために、窒素および酸素を同位体標識した硝酸を用いてリアクター内で馴化した汚泥のバッチ試験を実施する。
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[Journal Article] Enrichment of marine manganese oxidizing microorganisms using polycaprolactone as a solid organic substrate2021
Author(s)
Aoki, M., Miyashita, Y., Tran, Thao Tran P., Okuno, Y., Watari, T. and Yamaguchi, T.
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Journal Title
Biotechnology Letters
Volume: 43
Pages: 813-823
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Biodegradation of natural rubber and deproteinized natural rubber by enrichment bacterial consortia2020
Author(s)
Nguyen, L.H., Nguyen, H.D., Thao Tran P., Nghiem, T.T., Nguyen, T.T., Dao, V.L., Phan, T.N., To, A.K., Hatamoto, M., Yamaguchi, T., Kasai, D
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Journal Title
Biodegradation
Volume: 31
Pages: 303-317
DOI
Peer Reviewed
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