2021 Fiscal Year Annual Research Report
加齢性筋萎縮・肥満の予防改善におけるビタミンDと大豆イソフラボンの作用機序解明
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20J20087
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
内富 蘭 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | サルコペニア / サルコペニア肥満 / ビタミンD / 大豆イソフラボン / 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに活性型ビタミンD(1,25(OH)2ビタミンD3)はFOXO1の転写活性を抑制し、FOXO1の標的(筋萎縮)遺伝子の発現を抑制することを見出している。その作用経路を明らかとするために、1,25(OH)2Dを添加した C2C12筋細胞を用いてマイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析を行った。その結果、1,25(OH)2D添加によって、筋肥大や筋分化、脂質代謝、免疫機能に関連する複数の遺伝子発現が増加することを見出した。また、1,25(OH)2Dを投与したマウスの骨格筋での遺伝子発現の変化を調べたところ、VDR、Dgat2、Tgm2(トランスグルタミナーゼ2)が1,25 (OH)2Dを投与したマウスの骨格筋で有意に増加した。1,25(OH)2Dは骨格筋で脂質代謝に関わる遺伝子の発現を調節しているようである。また、Tgm2は筋肥大を引き起こすマイオカインとして知られており、Tgm2が1,25(OH)2Dによる筋肥大に関与している可能性が示唆された。 一方で、骨格筋のエネルギー消費を活性化する転写調節因子であるPGC1α/βに関するin vivoでの検討も進行中である。野生型マウスにおいて、大豆イソフラボン投与により白色脂肪組織重量の減少傾向が観察された。さらに大豆イソフラボン投与は、骨格筋のエネルギー消費関連遺伝子の発現を増加させることが示唆された。この実験により、大豆イソフラボンは骨格筋のエネルギー消費関連遺伝子を活性化することで抗肥満効果を呈する可能性が示された。現在、PGC1αを欠損させたマウスに大豆イソフラボン含有の食餌を摂取させ、その肥満関連の表現型を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究全体に進捗が見られた。ビタミンDによるFOXO1抑制に関しては、活性型ビタミンDである1,25(OH)2Dを添加した C2C12筋芽細胞を用いて、マイクロアレイによる網羅的解析を行い、ビタミンD添加により変動する因子・経路を明らかにした。得られたデータから1,25(OH)2D添加によって、筋肥大や筋分化、脂質代謝、免疫機能に関連する遺伝子が発現増加することを見出した。本研究成果を論文にまとめ共著者として英文学術誌に報告した(Journal of Nutritional Science and Vitaminology 68: 65-72, 2022)。 一方、PGC1α/βに関して、マウスに大豆イソフラボンを与え、肥満関連の表現型の評価を行った。その結果、野生型マウスにおいて大豆イソフラボン投与により白色脂肪組織重量の減少傾向や骨格筋のエネルギー消費関連遺伝子の発現増加が見られることを明らかにした。 現在、遺伝子改変マウスを用いたin vivoでの実験を実施中であり、来年度の更なる研究の進展が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はin vitroおよびin vivoでの解析の両面から、ビタミンDと大豆イソフラボンの筋萎縮・肥満抑制の作用機序を解明する。 C2C12筋細胞において、FOXO1の転写活性およびFOXO1の標的(筋萎縮)遺伝子の発現は活性型ビタミンD(1,25(OH)2D3)によって抑制される。この筋細胞におけるビタミンDの筋萎縮抑制作用が、ビタミンD受容体(VDR)を介するか否かを明らかにする。siRNAを用いてVDRをノックダウンさせ、FOXO1の標的(筋萎縮)遺伝子発現への影響を調べる。さらにビタミンDの摂取が筋萎縮を抑制しうるか否かを検討するために、筋萎縮が見られる老齢マウスやFOXO1過剰発現マウスを用いて、ビタミンDを経口投与し、その表現型を解析する。 一方で、PGC1βを過剰発現させたC2C12筋細胞に大豆イソフラボンを添加すると、エネルギー消費に関連する遺伝子の発現が増加し、さらにミトコンドリアを活性化する。また、PGC1βは核内受容体ERRを選択的に活性化することが知られる。大豆イソフラボンがERRを介してエネルギー消費を増加させるか否かを明らかにするために、siRNAを用いたERRのノックダウンを行い、エネルギー消費遺伝子発現への影響を調べる。これにより、大豆イソフラボンの分子的な作用機序を明らかにする。また、大豆イソフラボンの摂取がサルコペニア肥満を抑制しうるか否かを検討するために、PGC1を欠損させたマウスに大豆イソフラボン含有の食餌を摂取させており、現在その肥満関連の表現型を解析中である。
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Research Products
(1 results)