2022 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍増悪因子NRF3によるアミノ酸取り込みを介したがん免疫系抑制機構の解明
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20J20194
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
廣瀬 修平 同志社大学, 生命医科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | NRF3 / mTORC1 / アルギニン / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(2022年度)は、まずNRF3がアルギニン欠乏によって活性化することを見出した。アルギニンは非必須アミノ酸でありながら、がん細胞では合成経路が遮断されているため、アルギニン欠乏によって活性化し、細胞からのアルギニン供給を促進する機能は非常に重要である。加えて、本年度は移植腫瘍内のmTORC1活性を調べた。その結果、予想通りにNRF3過剰発現によってmTORC1活性が増加し、mTORC1阻害剤であるラパマイシンの投与によって阻害された。これは、NRF3過剰発現による腫瘍増大とラパマイシンによる退縮と一致した結果である。そして、以上の結果をiScience誌に報告した。 次に、NRF3はがん免疫に関与するのかという疑問について検討した。昨年度までで、Nrf3ノックダウンによる腫瘍の退縮はT細胞依存的である可能性を明らかにしていたものの、腫瘍内CD8陽性T細胞(キラーT細胞)数は変化しない結果を得ていた。本年度は、腫瘍から抽出したmRNAを用いてDNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、Nrf3ノックダウン腫瘍ではコントロールと比較して、強い免疫反応を示す可能性を見出した。それと一致して、腫瘍内のCD8陽性T細胞の割合はNrf3ノックダウンで増加していた。前年度ではキラーT細胞変化がなかった理由として、移植がん細胞数と飼育日数が原因だと考えている。一方で、制御性T細胞(Treg)は変化がなかった。以上の結果は、がん細胞におけるNrf3の発現はがん免疫を抑制する可能性を示唆している。この内容の一部はThe Tohoku Journal of Experimental Medicine誌に報告した。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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