2021 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞解析を用いたストレス応答に関わる神経メカニズムの解明
Project/Area Number |
20J20247
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田沼 将人 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | ストレス / 前障 |
Outline of Annual Research Achievements |
過度の精神的ストレスは脳機能障害を引き起こし、不安障害やうつ病などのストレス性精神疾患発症のリスク要因になる。しかし、ストレスを受けたときの応答に関わる詳細な神経メカニズムには不明な点が多い。当研究室ではこれまでストレスとの関連が報告されていない重要な脳領域として、前障を見出してきた。前障にはストレスにより活性化する細胞と、活性化しない細胞があることを見出しており、本研究では、その分子特性と機能特性の違いを明らかにすることを目的としている。そこで2021年度は主に以下の成果を得た。 研究1) 前障神経細胞の単一細胞トランスクリプトーム解析 これまで取得した前障神経細胞のトランスクリプトームを統合してクラスター解析を実施した結果、前障神経細胞は既報の通り、2つの興奮性神経細胞種に分類され、ストレス応答性神経細胞は両方の興奮性神経細胞種から構成されることを明らかにした。細胞種毎にストレス応答性神経細胞とストレス非応答性神経細胞との間で発現変動解析を実施した結果、各細胞種に共通して、ストレス応答性神経細胞で発現が上昇する遺伝子を同定した。その中から、前障の周辺領域と比較して前障で高く発現する遺伝子を同定し、ストレス応答性神経細胞のマーカー遺伝子として選定した。 研究2) 前障神経細胞の in vivo カルシウムイメージング 前障のストレス応答性神経細胞特異的な解析に先立って、前障の興奮性神経細胞の in vivo カルシウムイメージングを実施した。高架式十字迷路試験を行った結果、前障神経細胞の一部の細胞集団がオープンアームにおいて活動頻度が高くなることを明らかにした。また、その細胞集団の神経活動がオープンアーム進入時から持続的に亢進し、クローズドアームに進入後は低下することを明らかにした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、前障のストレス応答性神経細胞を特徴付ける遺伝子発現を得ること、また前障において in vivo カルシウムイメージングのデータを得ることに成功しているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は前障のストレス応答性神経細胞の集団特異的な in vivo カルシウムイメージングを実施し、ストレスによる不安関連行動と神経細胞の活動との関係を明らかにしていく予定である。
|
-
[Journal Article] Claustrum mediates bidirectional and reversible control of stress-induced anxiety responses2022
Author(s)
M Niu, A Kasai, M Tanuma, K Seiriki, H Igarashi, T Kuwaki, K Nagayasu, K Miyaji, H Ueno, W Tanabe, K Seo, R Yokoyama, J Ohkubo, Y Ago, M Hayashida, K Inoue, M Takada, S Yamaguchi, T Nakazawa, S Kaneko, H Okuno, A Yamanaka, H Hashimoto
-
Journal Title
Science Advances
Volume: Vol 8, Issue 11
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access