2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J20261
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 友裕 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 光子 / 量子情報 / 量子計算 / 量子通信 / 周波数多重 / 線形光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
光子を用いた大規模な量子情報処理に向けて以下の研究を行った。 (1) 連続的な自由度である周波数自由度を用いた量子情報処理に関する研究として、周波数多重化エンタングル光子対の生成実験を行なった。生成される状態に関する数値計算を追加で行い、これまでの実験結果と定性的に一致することを確かめた。さらに、使用しているPPLN導波路共振器の設計を変えることで、波長分割多重(WDM)の規格に合わせた周波数多重化が可能になった。WDMを用いて、生成された周波数多重化エンタングル光子対を16チャンネルに分割し、エンタングルメントの配送実験を行なった。これによって、量子通信の大容量化・高効率化が期待できる。 (2) 線形光学素子を用いた新しい量子操作の探索を目的として、線形光学回路に関する理論研究を行った。量子回路におけるスタビライザー形式と同様の方法が線形光学回路に対して適用できることを明らかにした。これによって直接的な計算を介することなく線形光学回路の出力の一部を予測することができる。また、この理論を用いることで、これまで提案されてきた方法の多くが統一的に理解できることが分かった。また、その応用先として線形光学素子と補助光子を用いたベル測定に関する研究を行った。 (3) 多光子のエンタングル状態を利用する量子通信プロトコルである、全光量子中継プロトコルへの応用に向けてツリー符号の計算エラー耐性に関する研究を行った。これによって、これまで知られていた損失エラーだけでなく、一般のエラーに対する耐性を明らかにすることができる。エラーモデル、復号化の手順等について検討し、解析的な結果を得た。また、ツリー形状の最適化や誤り訂正閾値の計算のためのプログラムを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論研究に関しては当初の計画通りに研究を行っており、主要な結果は既に得られているため順調に進展している。実験研究に関しては、当初の計画とは変更があったものの、周波数多重化エンタングル光子対に関する新たな実験を行い、十分な成果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
理論研究に関しては、継続して研究を行い、これまで得られた結果をまとめる。 実験研究に関しては、前年度までに行ってきた時間・周波数領域でのグリッド状態の生成に関する実験を再開する。
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Research Products
(3 results)