2021 Fiscal Year Annual Research Report
Comparative morphology on trident structure of baculum in Muroidea
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20J20295
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷戸 崇 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 外部生殖器 / 陰茎骨 / 繁殖戦略 / 生殖隔離 / 形態多様性 / 比較形態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度受理された日本に生息するネズミ科4属6種とキヌゲネズミ科3属5種の雄の生殖器を用いた比較形態学的研究を元にした論文「Comparative morphology of the male genitalia of Japanese Muroidea species」が,日本哺乳類学会が出版する国際学術雑誌Mammal Studyのvol.46に掲載された.掲載された内容は2021年6月23日に京都大学プレスリリースで「日本産ネズミ類の交尾器の多様性―形態の多様性とその機能的意義を解明―」として発表した.その後,産経新聞にも「雄ネズミ 生殖器先端,三つ股に」として2021年7月6日付けで取り上げられた. また,雄の生殖器の外部形態が似ているカヤネズミとハツカネズミをマイクロCTと組織切片を用いて,陰茎骨の位置と組織構造に着目した比較形態学的研究を実施した.2種の間で陰茎に占める陰茎骨の長さは殆ど変わらないにも関わらず,陰茎外皮から外へ突出する正乳頭突起の長さの割合は大きく異なっていた.陰茎遠位部の多様性の創出に,陰茎骨の位置が重要な役割を果たすことが示唆された.得られた成果はアメリカ哺乳類学会第100回年次大会2021(オンライン開催)で「Morphological comparison of small lateral bacular mounds of the male genitalia in two murid species」と題するポスター発表をした. さらに,キヌゲネズミ科キヌゲネズミ亜科4属6種の雄の生殖器についてマイクロCTを用いて形態比較の研究を実施した.マイクロCTを用いた画像解析の結果,種ごとに陰茎骨の形態が異なり,キヌゲネズミ亜科内の高い多様性が明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は計画していた研究内容をおおむね予定通りに実施し,研究を進展させたといえる.日本に生息するネズミ科4属6種とキヌゲネズミ科3属5種の外部生殖器についての研究成果を論文としてとりまとめ,日本哺乳類学会が出版する国際学術雑誌Mammal Studyのvol.46に掲載された.また,また,雄の生殖器の外部形態が似ているカヤネズミとハツカネズミをマイクロCTと組織切片を用いて,陰茎骨の位置と組織構造に着目した比較形態学的研究を実施し,その内容をアメリカ哺乳類学会第100回年次大会2021(オンライン開催)で「Morphological comparison of small lateral bacular mounds of the male genitalia in two murid species」と題するポスター発表をした.今年度も,新型コロナウイルス感染拡大防止措置の影響で,当初予定した地域でのフィールド調査が困難な状況ではあったため,一部予定を変更し鹿児島県と山口県,京都府で研究に必要なサンプリングを実施した.また,宮崎大学で飼育繁殖しているキヌゲネズミ科キヌゲネズミ亜科の外部生殖器を用いた共同研究を進展できた.キヌゲネズミ亜科4属6種の比較を行い,陰茎骨の形態の違いを確認することができた.研究手法は,昨年度から取り入れた,マイクロCTでの撮影および画像解析ソフトのAmiraによる外部生殖器の形態と陰茎骨の位置に着目して解析を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究実施から明らかになったことを踏まえて,雄の生殖器の外部形態が似ているカヤネズミとハツカネズミの比較形態学的研究を当初の計画の通りに進め,国際学術雑誌へ投稿するために論文を執筆する.一方,飼育繁殖しているキヌゲネズミ科キヌゲネズミ亜科の外部生殖器を用いた研究については,昨年度実施したマイクロCTによる撮影およびAmiraによる解析をさらに進め,国際学術雑誌へ投稿するために論文を執筆する.最終年度なのでサンプリングは必要最小限に抑えながら,必要な解析を精力的に進め,その結果を踏まえて学位論文執筆に取り組む.
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Research Products
(10 results)