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2020 Fiscal Year Annual Research Report

A novel role for sulfur metabolism in T cell

Research Project

Project/Area Number 20J20344
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

田山 舜一  東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2023-03-31
KeywordsT細胞 / 大腸炎 / イオウ代謝 / CARS2 / システインパースルフィド
Outline of Annual Research Achievements

T細胞は生体防御の中核を担う免疫細胞であり、生体外より侵入した病原体などの異物(非自己)を認識・排除することで私たちの体(自己)を病気から守っている。本来、T細胞は非自己のみを異物として認識するが、時として同細胞が自己を異物と誤認してしまい、正常組織に損傷を与えることで自己免疫疾患が誘発されることがある。近年、このようなT細胞の異常応答は、T細胞内の代謝システムが破綻することで引き起こされることが明らかとなりつつある。一方、最近の研究により、これまで特殊な微生物のみが保有すると考えられてきた「イオウ代謝」が広く哺乳類においても機能的であることが報告された。これによると、ミトコンドリアに局在するシステインtRNA合成酵素 (CARS2)は、イオウ代謝物の産生を介してエネルギー産生やタンパク質―イオウ修飾を司る。しかしながら、T細胞におけるイオウ代謝の詳細な機能は明らかとなっていない。そこで本研究では、T細胞活性化機構におけるイオウ代謝の役割を明らかにすることで、自己免疫疾患の新たな病態発症メカニズムを解明することを目的とする。
T細胞を欠損する免疫不全マウスに、ナイーブT細胞(異物を認識する前のT細胞)を養子移入すると、移入されたT細胞が生体内で爆発的に増殖し、自己免疫疾患様の腸炎が誘発されることが知られている。そこで、T細胞の性状にイオウ代謝が与える影響を評価するため、正常マウス(野生型マウス)およびCars2欠損マウス(Cars2+/-マウス)より単離したT細胞を免疫不全マウスに移入し、腸炎の程度を比較した。その結果、対照群に比べCars2+/-群において腸炎が有意に増悪し、さらに、Cars2+/- T細胞は野生型T細胞に比べ細胞増殖速度が亢進していることが明らかとなった。以上より、イオウ代謝はT細胞の増殖を制御することで腸炎悪化に対し保護的に作用することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究員は、令和2年度の研究において、イオウ代謝が障害されているT細胞が炎症性腸疾患を増悪させるという知見を得た。具体的には、T細胞を免疫不全マウスに養子移入することで惹起する炎症性腸疾患モデルにおいて、イオウ代謝が障害されているCars2欠損ヘテロ(Cars2+/-)マウス由来のT細胞が野生型マウス由来T細胞よりも腸炎を増悪させることを見いだした。さらに、Cars2+/- T細胞の生体内での細胞増殖と炎症局所への集積が亢進していることを証明した。このように、本研究員は疾患モデルを用いた困難な研究を順調に進捗させており、期待通りの成果を挙げたと考えられる。次年度には、イオウ代謝障害によりT細胞増殖が亢進させるメカニズムの解明に取り組む予定であり、その成果が期待される。

Strategy for Future Research Activity

①CD4 T細胞の細胞周期にCARS2が与える影響の検討
今年度の結果から、イオウ代謝はCD4 T細胞の増殖に対し、抑制的に作用していることを示唆する結果が得られた。そこでイオウ代謝が細胞増殖に与える影響を評価するために、炎症局所に集積したCD4 T細胞の各細胞周期段階(G0期、G1期、S期、G2期、M期)に占める割合を比較する。さらに、細胞周期を制御するようなチェックポイントタンパク質の発現量を比較することで、イオウ代謝がCD4 T細胞の細胞周期を制御するメカニズムの解明を試みる。
②T細胞の増殖にイオウ代謝産物が与える影響の評価
T細胞におけるCARS2発現量の低下によりエフェクターT細胞の増殖が亢進する可能性が示唆された。CARS2はCysSSHの産生に必須であるため(Akaike et al., Nat Commun, 2017)、本結果は、CysSSHがT細胞のネガティブレギュレーターの本体である可能性を示唆する。この可能性を探るために、消化管の炎症部位より単離したエフェクターCD4 T細胞内のCysSSH量を野生型-Cars2+/-間で比較する。また、T細胞性炎症が外因性活性イオウ分子種GSSSGの補充によって減弱することを確認する。
③AINKマウスを用いた解析
CARS2には2か所の異なる活性中心が存在し、前者はミトコンドリア内のシステインtRNA合成に関与し、後者は活性イオウ分子種の生合成に関与する。本研究で使用しているCARS2欠損マウスは、両活性中心を欠損しており、T細胞におけるイオウ代謝の機能面に与える厳密な解析が行えない。一方、共同研究者らにより、活性イオウ分子種の生合成に関与する領域のみを欠損したマウス(AINKマウス)が既に作成済みである。そこで、CARS2欠損マウスで確認された現象がAINKマウスでも確認されることを検証する。

  • Research Products

    (5 results)

All 2021 2020

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Fatty acid-binding protein 5 limits ILC2-mediated allergic lung inflammation in a murine asthma model2020

    • Author(s)
      Shuhei kobayashi, Shunichi Tayama, Hai The Phung, Yoshiteru Kagawa, Hirofumi Miyazaki, Yu Takahashi, Takashi Maruyama, Naoto Ishii, Yuji Owada
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 10 Pages: 16617

    • DOI

      10.1038/s41598-020-73935-y

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Fatty acid-binding protein 3 regulates differentiation of IgM-producing plasma cells2020

    • Author(s)
      Shuhei Kobayashi, Hai The Phung, Shunichi Tayama, Yoshiteru Kagawa, Hirofumi Miyazaki, Yui Yamamoto, Takashi Maruyama, Naoto Ishii, Yuji Owada
    • Journal Title

      The FEBS Journal

      Volume: 288 Pages: 1130, 1141

    • DOI

      10.1111/febs.15460

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] T細胞活性化機構における新規イオウ代謝経路の機能解明2021

    • Author(s)
      田山舜一
    • Organizer
      第14回リトリート大学院生研究発表会
  • [Presentation] イオウ代謝による免疫反応制御2021

    • Author(s)
      田山舜一
    • Organizer
      第5回FRIS/DIARE Joint Workshop
  • [Presentation] IQ motif-containing GTPase-activating protein 1 is essential for the optimal maintenance of ILC2s2020

    • Author(s)
      Shunichi Tayama, Yuko Okuyama, Hai The Phung, Atsuko Asao, Shuhei Kobayashi, Takeshi Kawabe, So Takanori, Naoto ishii
    • Organizer
      Immunology 2020
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2021-12-27  

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