2022 Fiscal Year Annual Research Report
統合的動的模型を用いたクォークグルーオンプラズマの輸送的性質の研究
Project/Area Number |
20J20401
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Research Institution | Sophia University |
Research Fellow |
金久保 優花 上智大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 高エネルギー原子核衝突反応 / クォークグルーオンプラズマ / モンテカルロイベントジェネレータ / 相対論的流体力学 / 平衡・非平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
平衡下にあるクォークとグルーオンの多体系、クォークグルーオンプラズマ(QGP)の物性は高エネルギー原子核衝突実験を通して研究されている。従来よりQGPはサイズの大きい原子核同士を衝突させることによって生成されると考えられてきたが、最小の原子核である陽子同士の衝突においてもQGP生成の兆候が実験的に確認されている。こうした実験的事実をもとに、あらゆる衝突系におけるQGP生成を記述する理論的枠組みを構築したうえでQGP物性の精査を目的とする。本年度(2022年度)は構築した理論的枠組みを用いて衝突事象のシミュレーションを行い膨大な統計を貯めることで、より詳細である生成粒子の横運動量分布の解析を行った。系全体の局所平衡を仮定する相対論的流体力学に基づく理論的枠組みは高エネルギー重イオン衝突反応で生成された粒子のうち比較的低横運動量領域をよく記述するとされてきた。一方で、零付近の横運動量領域においては相対論的流体力学による予測が実験データの粒子収量を下回ることが数々の先行研究より報告されており、このような非常に小さい横運動量をもつ粒子の起源の特定はQGP研究における長年の課題であった。そこで本研究は局所平衡下にある流体成分とともに非平衡における成分からの粒子生成を考慮することによって当課題の解決を試みた。本研究の結果は非常に小さい横運動量をもつ粒子の起源は非平衡にある成分から生成された粒子である可能性を示唆するものであり、高エネルギー重イオン衝突反応の実験データを適切に解釈しQGP物性を引き出すうえで重要である。当研究成果は本年度(2022年度)に学術誌に提出、受理されている。
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Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
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