2021 Fiscal Year Annual Research Report
道義的建築論に基づく都市スラムの形成メカニズムの解明と新たなスラム改善手法の開発
Project/Area Number |
20J20421
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
阿部 拓也 筑波大学, 人間総合科学学術院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | スラム / 道義的建築 / 家屋 / 形成メカニズム / タイ / デザイン / フィールドワーク / チュムチョン |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は以下の2つの活動をおこなった。 ①「地域全体の空間の形成史の構築調査」:調査地であるクロントゥーイの1932-85年までの古地図および2002-22年までの航空写真を収集し、それらの資料を時系列順に編集することで、地域全体の空間が変容した場所と時期および変前後の空間の形状を把握した。さらに調査地の歴史が記された文献を講読し、空間が変容した要因を特定した。この調査から、同地域で実施された港湾開発事業・土地分有事業・再定住事業が空間変容に大きな影響をあたえていること、3事業の前中後で時期を区分することでクロントゥーイの形成史が描けることをしめした。この「地域全体の空間の形成史の構築調査」は当初の予定にはなかったが、この調査を2022年度の現地調査の新たな項目として組みこむ。そしてこの調査で得たデータの質を2022年度の現地調査で高め、その成果を査読論文として発表する予定である。 ②「世界各国のインフォーマル居住地の比較研究」:2020-21年の2年間に日本建築学会・都市インフォーマリティから導く実践計画理論[若手奨励]特別研究委員会に委員として参加した。この委員会では、世界各国のインフォーマル居住地で活動する研究者・実践者との成果の共有や議論をおこない、インフォーマル居住地同士の比較や同地域で研究・実践をする意義について知見を深めた。この委員会での成果は日本建築学会大会シンポジウムや活動成果報告書で公表済みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
上記の「地域全体の空間の形成史構築調査」や「世界各国のインフォーマル居住地の比較研究」は進んだ一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現地調査が遂行できていない。ゆえに当初予定していた「ライフストーリーの聞き取り調査」および「設計施工プロセスの観察調査」は計画通りに進んでいない。しかし2022年5月よりタイに渡航し、チュラロンコン大学建築学部住宅学科に籍を置きながら、23年3月まで現地調査をする体制を整えた。この11か月間で当初予定していた調査を完遂させる予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
現地に滞在する2022年5月から23年3月までの間に以下3つの調査をおこなう。 ①「地域全体の空間の形成史の構築調査」に取りくみ、国立図書館や測量局などでの地図・航空写真の収集調査や地域全体の土地・家屋の悉皆調査を予定する。 ②「ライフストーリーの聞き取り調査」をおこない、住まい手が生まれてから現在にいたるまでの家屋をめぐるライフストーリーを記述する。 ③「設計施工プロセスの観察調査」をおこない、家屋建設・増改築がおこなわれる建設現場に参与し、その全行程を記録することで、家屋の設計施工プロセスの全容をあきらかにする。
|