2020 Fiscal Year Annual Research Report
有機塩基を用いた低環境負荷型・精密重合法によるπ共役系高分子材料の開発
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20J20461
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 圭一郎 山形大学, 大学院有機材料システム研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 精密合成 / 環境調和型合成法 / 有機半導体高分子 / ポリシロキサン |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、有機金属試薬及び遷移金属触媒を使用せず、反応系からの除去が容易な有機塩基を用いる新たな有機半導体高分子の精密合成手法の開発を目指し研究を行っている。本年度は、[1] 目的の重合系開発に必要なモノマーの合成を行うとともに [2] 完全に金属を使用せずに、高機能性半導体材料を合成することを視野にいれた、環境調和型重合手法を用いる両末端アジド化ポリシロキサンの精密合成を行った。 [1] モノマー合成 有機塩基を使った重合系に必要なモノマーは、すでに合成経路を確立している化合物からそれぞれワンステップで合成できると考えていた。しかし、反応を行った結果目的物の生成は確認されていない。今後の展望として、反応条件を種々検討して、早急にモノマー合成を達成したい。 [2] 環境調和型重合手法を用いる両末端アジド化ポリシロキサンの精密合成 半導体高分子の応用先の一つに、ストレッチャブルエレクトロニクスがある。近年では、熱可塑性エラストマーを志向し、半導体高分子をハードセグメントとして用いた、ハード-ソフト-ハード型トリブロック共重合体が本質的に伸縮性を有する材料の一つとして注目されている。申請者は、半導体高分子だけではなく、ソフトセグメントに相当するポリマーについても環境調和型重合手法を用いて合成する必要があると考え本検討を行った。合成対象として、すでに環境調和型精密重合手法が確立されている汎用性エラストマーであるポリシロキサンを選択し、高分子間反応においても優れた反応性を示すアジド基を有するポリマーの精密合成を目指した。検討の結果、鎖末端官能基化率100%、数平均分子量15000以上、分子量分布1.2以下の両末端アジド化ポリシロキサンの合成に成功した
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
有機金属試薬及び遷移金属触媒を使用せず、反応系からの除去が容易な有機塩基を用いる新たな有機半導体高分子の精密合成手法の開発を行っている。本年度は、[1] 目的の重合系開発に必要なモノマーの合成を検討するとともに [2] 完全に金属を使用せずに、高機能性半導体材料を合成することを視野にいれた、環境調和型重合手法を用いる両末端官能基化ポリシロキサンの精密合成を行った。特に開発目標[2]において、従来達成が難しかった構造の明確な両鎖末端にアジド基を有するポリシロキサンの開発に成功した。本材料を応力緩和セグメントとして起用し、π共役系高分子に組み込むことで、ウェアラブルデバイス等に搭載される新しい伸縮可能な半導体高分子材料の創成に繋がる。従っておおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
モノマー合成条件を早急に確立し有機塩基を使った重合条件検討に移る。必要に応じてモノマー構造の変更や、すでに合成法を確立しているリン酸エステル型モノマーに対する有機塩基の適用等を検討し、精密重合系の確立を目指したい。重合系を確立した後に、今年度合成した両末端アジド化ポリシロキサンを使用し、伸縮性を有する有機半導体高分子合成へと展開したい。
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Research Products
(1 results)