2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J20495
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
山栄 大樹 横浜国立大学, 理工学府, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 可逆計算 / 超伝導回路 / 量子磁束パラメトロン / 断熱ロジック |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、可逆量子磁束パラメトロン(AQFP)回路を用いた超低消費エネルギー計算機の要素回路の検討と可逆AQFP回路を用いたANDゲートの高速測定を行った。 昨年度に提案したセルライブラリを用いて可逆計算機の要素回路の一つである算術論理演算器を設計した。設計した回路の消費エネルギーを数値計算を用いて計算し、従来の不可逆AQFP回路を用いたものと比較して低消費エネルギーであることを確認した。これは、昨年度に検討した計算に不要なゴミ情報を消去する際に伴う消費エネルギーを考慮しても十分小さいことが確認できた。さらに、設計した算術論理演算器の低速測定を行い、正常動作を確認した。また、昨年度に設計した可逆計算機の中で最も規模が大きい要素回路であるレジスタファイルのビットを拡張するための大規模化について検討を行った。各ビットをモジュール化し、そのモジュールをビット数だけ並べて接続するだけで容易に設計できる構造にした。上記の設計方針で昨年度に提案したセルライブラリを用いて4ビットレジスタファイルを設計した。 可逆AQFP回路の高速測定については、昨年度に提案したセルライブラリの基本ゲートの一つである入力のうちの一つの論理を固定することで実現できる2入力ANDゲートの高速測定を行った。設計したANDゲートの高速測定を行い、複数のチップにおいて動作周波数3.5 GHzでの正常動作を確認し、可逆AQFP回路が数GHzで動作可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
可逆AQFP回路を用いた超低消費エネルギー計算機の要素回路の検討については、算術論理演算器の設計を行い、低速測定で正常動作を確認した。また、可逆計算機の中で最も規模が大きい要素回路であるレジスタファイルのビット拡張を検討し、大規模化への準備を行った。これらの成果により、可逆AQFP回路を用いたマイクロプロセッサの実現のための準備がおおむね完了した。 可逆AQFP回路の高速測定については、基本ゲートであるANDゲートが数GHzで正常動作することを複数のチップで確認した。これにより、大規模な可逆回路の高速動作やGHz帯域における消費エネルギー測定のための準備を行うことができた。 以上より、おおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで設計した要素回路を組み合わせることで、可逆AQFP回路を用いたマイクロプロセッサの設計と動作実証を目指す。必要に応じて可逆AQFP回路のパラメータ及びレイアウトの再検討を行い、設計に反映させる。設計した可逆AQFP回路を用いたマイクロプロセッサが従来の不可逆AQFP回路を用いたマイクロプロセッサに対して消費エネルギーにおいて優位性があることを示す。また、AQFP回路の消費エネルギーの実測の検討を行う。
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Research Products
(17 results)