2020 Fiscal Year Annual Research Report
パルサーのグリッチ現象の解明とパルサータイミングアレイへの応用
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20J20509
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
久野 晋之介 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | パルサー / 重力波 / 突発天体 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は以下の3つのテーマに取り組んだ。1つ目は、Crabパルサーのグリッチ現象である。パルサーは非常に安定した周期で回転しているが、その回転速度が突然大きく変化するグリッチと呼ばれる現象がある。このような現象が起こると予期していたタイミングとは異なってパルスが観測される。これは、パルサーの周期の安定性を利用し重力波検出を行うパルサータイミングアレイに影響を及ぼしうるかもしれない。2017年にCrabパルサーで起きた過去最大規模のグリッチ現象を観測したデータを用いてそのパラメータ推定を行った。結果としては、先に報告されていた他の望遠鏡での観測結果より厳しい制限をかけることはできなかった。 2つ目は、Murchison Widefield Array(MWA)望遠鏡を用いたrepeating fast radio burst(FRB)の観測である。周期性が示唆されているFRBが活動期の時期に低周波で初のFRB検出を狙い観測を行った。これまでのFRBは最も低い周波数でも400MHz程度までしか検出されていない。MWAの100MHzでの検出はFRBモデルへの寄与が期待できる。今回の観測では有意なシグナルは認められなかった。 3つ目は、大マゼラン雲でのパルサー・突発天体探索である。Parkes 望遠鏡で大マゼラン雲を観測したデータを用いてパルサー・突発天体の探索を行った。系外銀河でのパルサーの発見は銀河系内外のパルサーの分布を比較し、その組成を明らかにすることに必要不可欠である。今回の研究で新たにパルサーを一つ発見し、論文執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では米国に滞在し、共同研究者の方々と研究を進めていく予定であった。しかし、新型コロナウイルスの影響により本年の渡米はできなかった。メールやzoomをベースとして研究を行ってはいたが、時差などの影響でスムーズに進めることは困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度から、Indian pulsar timing array というチームに加わり、パルサーの観測、解析を行っている。そこで干渉計を用いたパルサー観測、そのデータを使った重力波解析の基礎を学んだ。今後は渡米し、共同研究者の方と共に、さらに発展的なパルサーデータの解析手法等を学ぶ。
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