2021 Fiscal Year Annual Research Report
Interorganizational mobility of researchers in Japan: the ambivalent effects of employee departure on organizational innovative activity
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20J20594
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
横田 一貴 一橋大学, 大学院経営管理研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 発明者 / 転職 / 組織間移動 / 知識移転 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は文献調査および特許データを用いた定量分析の結果をもとに,論文を2本執筆し,学会報告を1件行った. 文献調査では,経営学の既存領域として特に人的資源管理論における離職の研究群,およびイノベーション論における発明者の流動性に関する研究群をそれぞれ取り上げ,成員がある組織から離脱するという現象が経営に対してどのような影響を及ぼすと考えられてきたのかを明らかにした上で,近年の研究が見せる潮流を理論的に解釈し今後の研究テーマとして有益であると予想される研究課題を提示した.これは令和2年度6月に一部を学会で報告した研究を更に理論的に整理したものである.この内容について,経営学系の国内学会である組織学会の年次大会にて合計90分の報告を行った.この文献調査の結果は論文としても組織学会にて発行される予定の書籍に掲載されることが決まっている. 定量分析を基にした論文では,昨年度から取り組んでいる特許データを用いた発明者の転職経歴を追跡するデータベースの処理を更に進めた.分析では,米国の先行研究が指摘する「リバース・ナレッジ・フロー」という,成員を失うことを契機として組織内に外部知識がもたらされる現象が,日本のデータにおいても観察されるかどうかを検証した.本研究の結果,効果の大きさは比較的小さいものであったものの,日本においても研究開発者の組織間移動のパターンが組織間の知識移転と関連しているということが示唆された.こちらは組織学会が発行する学術誌に投稿済みであり,査読プロセスに入っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は新型コロナウィルス拡大の影響のため,数十人規模の大規模なインタビューを通じた定性調査は軌道修正を余儀なくされたものの,令和3年度にはオンライン通話などを用いて数人のインタビュー調査を実施することができた. データベースの構築と分析も順調に進んだ.本年度も一定の知見が得られたとともに,それらを論文として発表する手続きにも進捗がある.また,定量調査では基本的に特許データのみを用いる予定であったが,補完的なアベイラブル・データを発見し収集する目処が立った.これにより,次年度(令和4年度)以降においては複数のデータベースから移動データのトライアンギュレーションを行い,より高い精度で知見の頑健性を評価できるようになると期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
今後(令和4年度)においては,これまでに構築したデータベースの精緻化を進めるとともに,定量分析を実施することを重視し,そうした分析の結果を論文として執筆する予定である.また,これまでの定性および定量分析から得られた知見を組み合わせて,本研究課題に関するテーマで論文の執筆を行う.
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