2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J20606
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
小野 高裕 中央大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 関数空間 / 調和解析学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、今年度行った主な研究は下記の2つのテーマについてである。 まず、弱オーリッツ空間に対する前双対空間が、新たに導入したオーリッツ-ローレンツ空間の一種として与えられることを発見した。これは同研究室の波多野修也氏と、茨木大学で博士号取得見込みの川澄亮太氏との共同研究である。その結果の応用として、弱オーリッツ空間においてフェファーマン-スタインのベクトル値型の極大不等式が成り立つことが証明された。このフェファーマン-スタインベクトル値型の極大不等式はBMO、カンパナト空間の理論でもしばしば用いられており、近年盛んに研究が行われているオーリッツ型のBMO、カンパナト空間に対しても応用が期待される。 次に、モレー空間へテント空間の理論を応用し、新たな結果を与えることである。テント空間の理論とはBMO、カンパナト空間の理論の基礎ともいうべき理論であり、モレー空間に対してこのようなアプローチは本研究の特色の一つといえる。本研究では新たにN空間と呼ぶ3つのパラメータを持つ関数空間を導入した。今年度与えられた結果としては、N空間がある特定のパラメータを持つ状況でモレー空間と一致することが得られた。これはモレー空間の新たな特徴づけに他ならない。また、N空間がまた別のパラメータを持つとき、その空間の双対空間がモレー空間となることが示された。同時に、そのようなN空間がブロック空間と呼ばれる関数空間と一致することも示された。ここで、ブロック空間の双対空間がモレー空間となるという結果は知られている。これらの結果からわかることは、N空間はモレー空間を研究する上で自然な枠組みであるということである。モレー空間について、その実補間空間などまだ不明な点は多い。それらの問題を、N空間を用いることで打開できることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に目標としていた、モレー空間の新たな前双対空間の発見は達成できた。それがN空間であるが、N空間の性質について十分に調べることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究として、N空間についてさらに性質を明らかにし、他の関数空間の理論を複合し、関数空間論をより体系的に整理することである。具体的に調べることは、まず、モレー空間と他の関数空間の複素補間空間をN空間によって表現することである。また、アトム分解の観点からN空間とトリーベル・リゾルキン空間を関連付け、特異積分作用素の理論に応用することである。さらに、モレー空間で知られるナヴィエ・ストークス方程式に関連する 性質をN空間に拡張することである。
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