2020 Fiscal Year Annual Research Report
肝星細胞由来の分泌膜小胞の超精密分析を基盤とした老化に伴う肝疾患の病態解明
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20J20625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 智華子 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / ADAR1 / Hibitタグ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は慢性炎症に伴う肝発癌の病態生理の解明の一端として、肝非実質細胞(星細胞)の細胞老化に伴って発現が増えてくるRNA編集酵素ADAR1に着目した研究を進めた。 まずADAR1蛋白の局在をモニターするために、ADAR1のC端に11アミノ酸のHiBitタグを融合発現するよう、肝星細胞由来の細胞株LX2細胞に対して遺伝子編集手法を用いて 当該シークエンスをノックインした細胞を樹立した。 ADAR1蛋白が、放出される細胞外小胞(EV)に含まれるかどうかを、単離したEVとLgBiT蛋白との混合によるNano-luciferaseの生成の有無によって高感度にモニターできる系を樹立した。これによって、肝星細胞が細胞老化をきたすと細胞内のADAR1蛋白の発現が増えるとともに、EV内のADAR1蛋白も増えることを確認した。 同定したEV中のADAR1蛋白が、近隣実質細胞に取り込まれるかどうか、ヒトiPS細胞由来の正常肝実質細胞と、水平連結チャンバーを用いて検討した。その結果、老化した肝星細胞から放出されたADAR1蛋白を含むEVは肝実質細胞に取り込まれることが、連結水平チャンバーとレポーターアッセイによって、確認された。 肝実質細胞に取り込まれたADAR1はRNA編集酵素として機能し、肝実質細胞内のRNAにA to I 変異を導入し、特に、肝臓での発癌・癌進展に関わることが既に報告されているAZIN1遺伝子の変異を惹起することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞外小胞の取り込みをモニタリングするため、Hibitタグという高感度のレポーターを用いた系を樹立し、上記の内容を既に論文としてまとめつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、間質細胞の細胞老化に伴って発現増加する蛋白はADAR1以外にもあるため、今後はそれらの蛋白がADAR1と同様に実質細胞に取り込まれるのか、その生物学的機能は保たれたまま実質細胞内でどのような作用をするのか、について、検討を行っていく。
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