2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力マイクロレンズ法による惑星存在頻度の主星質量依存性及び惑星質量関数の解明
Project/Area Number |
20J20633
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 依央菜 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 太陽系外惑星 / 赤外線天文学 / 銀河系中心 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、マイクロレンズ法を用いて銀河系中心方向における系外惑星探査を行い、惑星発見数を増やすことで惑星系の全体像を解明することを目的とする。さらに発見された惑星を用いて主星質量ごとに惑星の質量比分布を求め、その主星質量依存性を解明し、惑星形成論に制限を与えることである。 そのためには惑星数を増やす必要があるが、マイクロレンズ法で見つかった惑星数はまだ少ない。そこで惑星数を増やすために、現在南アフリカに建設中のPRIME(Prime-focus Infrared Microlensing Experiment)望遠鏡の開発や、観測シミュレーションを行った。PRIME望遠鏡は、世界最大級の視野を持つ近赤外線望遠鏡であり、世界で初めて近赤外線による銀河系中心方向の高頻度マイクロレンズサーベイ観測を行う予定である。近赤外線で観測することで、強い星間減光のために従来の可視光観測では不可能であった銀河系中心領域を観測することが可能になり、より多くの惑星の発見が期待されている。 PRIME望遠鏡の観測のシミュレーションでは、複数の観測戦略を仮定し、それぞれで期待される惑星の検出数を見積もった。まず、銀河モデルを用いて銀河系中心方向のマイクロレンズイベントを作成し、それに対してPRIME望遠鏡のサーベイ観測をシミュレーションして人工光度曲線を作成し惑星イベントの検出効率を見積もった。さらに、観測領域・頻度などの観測戦略の違いによる、惑星イベントの発見数の期待値を見積もり、検出できる惑星の特徴の違いについて調べた。その結果、PRIME望遠鏡で惑星の発見数を最大化する観測戦略を明らかにした。また、地球の重さ程度の軽い惑星まで発見できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の最終目的である質量比分布の導出やその主星質量依存性の解明という点に関してはまだ到達していない。しかし、本年度は、PRIME望遠鏡の観測シミュレーションにより、低質量比惑星を含む惑星発見数を増やすことのできる観測戦略を提案することができた。これにより、将来の統計解析ではより多くの惑星サンプルを用いることができ、統計の信頼性も高めることができる。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の銀河系モデル(星の分布・速度分散などの異なるモデル)に対して、今年度行ったPRIME望遠鏡の観測のシミュレーションを適用し、観測される惑星やマイクロレンズイベントの分布を比較し、異なるモデルを仮定したときに期待されるパラメータ分布がどう変化するかを調べる。また、2022年度より観測が開始することが期待されるPRIME望遠鏡の実際の観測結果と比較することで銀河系モデルへの制限や修正を行う。
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Research Products
(2 results)