2021 Fiscal Year Annual Research Report
Study of molecular and neural mechanism of 2-day rhythm in Holotrichia parallela
Project/Area Number |
20J20662
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邊 耕平 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 概日時計 / 概倍日リズム / 時計遺伝子 / in situ hybridization / RNAi / オオクロコガネ |
Outline of Annual Research Achievements |
オオクロコガネは野外で一晩おきに活動し、約48時間周期の概“倍”日リズムを示すことが知られる。本研究は概倍日リズム形成に関わる脳領域、時計遺伝子を解析する。本年度は、時計遺伝子のRNA干渉法(RNAi)によるノックダウン実験及び時計細胞の探索を行った。 RNAiの実験群として、無処理個体とβlactamaseを対照群とし、24時間で振動する時計遺伝子periodと48時間で振動するtimelessを選択した。dsRNAを頭部に注入後10日間恒暗条件にて活動記録を行い、自由継続周期を調べた。また別個体で注入2日後に脳からRNA抽出して定量PCR(qPCR)解析を行い対象遺伝子の相対mRNA量を測定した。ds-periodにおいて実験群4個体のうち2個体で自由継続周期が短くなり平均τ=39.45(N=2)となった。ds-timelessでも実験群2個体全てで自由継続周期が同様に短くなり、平均τ=41.65(N=2)となった。これらの結果は対照群の自由継続周期より8時間ほど短い。同様にdsRNAを注入した個体では、periodで最大10%、timelessで25%発現量が減少した。リズムが消失することはなかったものの、自由継続周期に影響を及ぼしたことからperiod、timelessともにオオクロコガネの概倍日リズムの形成に関与する可能性がある。 時計細胞の分布を調べるために、in situ hybridization法を行った。period配列の849bpを標的としてRNAプローブを作製し、50μm厚の切片を作成して実験を行った。結果、アンチセンスプローブに対するシグナルが視葉の副視髄領域のみに確認された(N=5)。この結果は、同じコガネムシ科昆虫において示されているPERIOD免疫陽性細胞の分布と同様であり、これがオオクロコガネの時計細胞として機能する可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オオクロコガネにおいてもdsRNAによる遺伝子抑制が行動に影響を与えることが確認できた。また時計遺伝子を発現する細胞についても視葉に存在することが確認できた。しかし実験群の十分な個体数を得ることができていない。この理由にオオクロコガネのdsRNAを合成するにあたり二本鎖を先行研究の方法で確認できず、dsRNAを合成可能になるまでに時間を要したこと、また遺伝子抑制効果が表現型に現れるdsRNA領域及び注入量における条件検討にも同様に時間を要したことが挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
概日時計遺伝子の発現をRNA干渉法(RNAi)によって抑制して歩行活動の記録を行い、概倍日リズムへの影響を引き続き調べる。実験区分としては無処理、対照遺伝子(β-lactamase)ノックダウン、24時間周期で発現するperiod、cycleノックダウン、48時間周期で発現するtimeless、clockノックダウンをそれぞれn≧15程度を目標とし、恒暗条件10日間の後、dsRNA注入後の恒暗条件10日間の計20日間で行動観察を行う。 またperiod、timeless配列を用いた概日時計遺伝子のin situハイブリダイゼーションを引き続き行う。シグナル強度を最適化する条件検討やそれぞれの mRNAを発現する細胞が共局在するかも調べる。そして、Pigment-dispersing Factor(PDF)ニューロン等との連絡を調べ、時計シグナルの出力経路を調べる。
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Research Products
(5 results)