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2021 Fiscal Year Annual Research Report

固体クロスカップリング反応による固相精密分子変換手法の開発

Research Project

Project/Area Number 20J20675
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

瀬尾 珠恵  北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2023-03-31
Keywordsメカノケミストリー / ボールミル / 鈴木-宮浦クロスカップリング / パラジウム / ホスフィン配位子
Outline of Annual Research Achievements

一般的な有機合成反応は不活性ガス存在下、脱気脱水溶媒を用いて煩雑な操作を必要とするため、操作の簡便性や環境汚染の面から課題がある。また有機溶媒に溶けにくい基質は反応の実施が困難である。そこで我々はボールミルを用いたメカノケミカル合成に着目した。メカノケミカル合成は無溶媒条件下、基質の溶解性に左右されることなく反応を行うことが可能である。我々はボールミルを用いた汎用的な鈴木宮浦クロスカップリングの開発に成功した。さらに、前年度は外部からヒートガンを用いて加熱をしながらボールミル反応を行う、高温ボールミル法を開発することで、不溶性化合物のクロスカップリングを報告した。この手法をブレイクスルーとして、難溶解性化合物に対する薗頭クロスカップリング反応や、容易に加水分解されるような不安定ボロン酸に対する鈴木宮浦クロスカップリング反応の開発にも成功した。これまでのボールミルを用いたクロスカップリング反応は、溶液系向けにデザインされた触媒を用いて反応を行っていた。そこで、固体反応向けにデザインされた触媒を開発することができれば、さらなる固体反応の発展につながるのではないかと考えた。種々検討を行った結果、ポリマー鎖を導入した新規配位子がメカノケミカルクロスカップリング反応において高い触媒活性を示すことを見出した。現在論文準備中である。また、前年度はオンラインの学会に多く参加することができ、初めての英語口頭発表を2回行い、貴重な経験をすることができた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

1: Research has progressed more than it was originally planned.

Reason

現在は、メカノケミカル条件下高活性を示す新規配位子の開発を行っている。配位子デザインの一つの指針として、固体の分子間相互作用を弱められるような効果を持つ配位子を開発することができれば、固体反応を促進することができるのではないかと考えた。そこで我々は、ポリエチレングリコール (PEG) に着目した。PEGを添加剤として加えることで、固体中の化合物の分子間相互作用の具合を調整することができることが近年報告されている。そこで配位子にPEG鎖を導入した新規配位子用いれば、固体基質の近辺で基質が分散して、ボールミルを用いたメカノケミカルクロスカップリング反応が加速するのではないかと考えた。ここから着想を経て、トリフェニルホスフィンをモデル配位子として、PEG鎖を導入した新規配位子を用いたところ、メカノケミカル鈴木宮浦クロスカップリング反応において従来の触媒系を上回る高い触媒活性を示すことを見出した。さらに、従来の配位子では全く反応が進行しない基質についても今回の新規配位子を用いることで、ほぼ定量的に目的の化合物が得られる。コントロール実験として、PEGを添加剤として加える条件や、PEG鎖を持たない配位子を用いた際には、低収率の結果だったことから、PEG鎖を配位子に導入することが反応の加速に重要であることが示唆された。現在はPEG鎖の役割について、さらなる考察を行っており、論文準備中である。

Strategy for Future Research Activity

本年度は、メカノケミカル反応に特化した新規配位子の開発についての論文を投稿するための論文準備や追加実験を行うことを第一優先に、次の研究テーマの探索を行いたいと考えている。前年度は、高温ボールミル法を開発することで、不溶性化合物に対する鈴木宮浦クロスカップリング反応に成功した。しかしこの手法を用いても、他のC-Nカップリング反応やそのほかのクロスカップリング反応では全く反応が進行しないため、不溶性化合物の官能基化はまだ課題が残されていた。そこで別のアプローチとして、不溶性化合物の酸化的付加錯体の合成を考えた。メカノケミカル条件下、不溶性化合物の酸化的付加錯体を合成することができれば、溶液条件下、またはボールミル条件下において、様々な求核剤と反応させることで、今まで合成できなかった新規化合物の合成が可能になる。当研究室では、比較的シンプルなアリールハライドに対して、ボールミル条件下、酸化的付加錯体が合成できることを報告している。この反応では室温でゼロ価を生じるようなパラジウム前駆体を用いて反応を行っており、難溶解性化合物への検討はされていなかった。そこで本研究では高温で還元的脱離をするようなパラジウム前駆体を合成し、難溶解性化合物や不溶性化合物への検討を行いたいと考えている。まずは市販されているホスフィン配位子を用いた検討を行い、目的の錯体の溶解性が低く単離が困難な場合においては、溶解性を向上させるような置換基が導入された配位子を合成することで、錯体の溶解性を向上させる予定である。

  • Research Products

    (9 results)

All 2022 2021

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 3 results) Presentation (5 results)

  • [Journal Article] Insight into the Reactivity Profile of Solid-State Aryl Bromides in Suzuki?Miyaura Cross-Coupling Reactions Using Ball Milling2022

    • Author(s)
      Kubota, K.; Kondo, K.; Seo, T.; Ito, H
    • Journal Title

      Synlett

      Volume: 33 Pages: A~E

    • DOI

      10.1055/a-1748-3797

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Efficient access to materials-oriented aromatic alkynes <i>via</i> the mechanochemical Sonogashira coupling of solid aryl halides with large polycyclic conjugated systems2022

    • Author(s)
      Gao, Y.; Feng, C.; Seo, T. Kubota, K.; Ito, H.
    • Journal Title

      Chemical Science

      Volume: 13 Pages: 430~438

    • DOI

      10.1039/D1SC05257H

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Palladium-Catalyzed Solid-State Polyfluoroarylation of Aryl Halides Using Mechanochemistry2021

    • Author(s)
      Takahashi, R.; Seo, T.; Kubota, K.; Ito, H.
    • Journal Title

      ACS Catalysis

      Volume: 11 Pages: 14803~14810

    • DOI

      10.1021/acscatal.1c03731

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Mechanochemical synthesis of magnesium-based carbon nucleophiles in air and their use in organic synthesis2021

    • Author(s)
      Takahashi, R.; Hu, A.; Gao, P.; Gao, Y.; Pang, Y.; Seo, T.; Maeda, S.; Jiang, J.; Takaya, H.; Kubota, K.; Ito, H.
    • Journal Title

      Nature Communications

      Volume: 12 Pages: 6691~

    • DOI

      10.1038/s41467-021-26962-w

  • [Presentation] メカノケミカルクロスカップリング反応において高活性を示す新規配位子の開発2022

    • Author(s)
      瀬尾珠恵、久保田浩司、伊藤肇
    • Organizer
      第102回春季年会
  • [Presentation] メカノケミストリーによる固体クロスカップリング反応2021

    • Author(s)
      瀬尾珠恵、久保田浩司、伊藤肇
    • Organizer
      福岡万有シンポジウム
  • [Presentation] 不溶性アリールハライドの固体クロスカップリング反応2021

    • Author(s)
      瀬尾珠恵、豊島直喜、久保田浩司、伊藤肇
    • Organizer
      有機金属化学討論会
  • [Presentation] ボールミルを用いた固体クロスカップリング反応2021

    • Author(s)
      瀬尾珠恵
    • Organizer
      第12回大津会議
  • [Presentation] In-situ Crystallization Enables Selective Monoarylation of Unbiased Dihaloarenes Using Mechanochemistry2021

    • Author(s)
      瀬尾珠恵、久保田浩司、伊藤肇
    • Organizer
      Pacifichem

URL: 

Published: 2022-12-28  

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