2021 Fiscal Year Annual Research Report
X線偏光撮像とX線精密分光による活動銀河核トーラスの構造の解明
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20J20685
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝倉 一統 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | X線干渉計 / 高角度分解能 / 符号化開口 / X線CCD / X線偏光撮像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き、高角度分解能でのX線撮像の実現を目標として、多重像X線干渉計(MIXIM)の開発に尽力した。MIXIMは周期的な開口部をもつマスクと微小ピクセルCMOS検出器からなる撮像系であり、基本的にはマルチピンホールカメラと同じ原理で特定の波長域でのX線撮像を行う。昨年度は多重化コーデッドマスクの導入により有効面積の向上に成功した一方で、低エネルギー側でX線撮像を行う場合にはマスクの基板による吸収が無視できないという課題が残存していた。これは観測対象候補の一つである活動銀河核からの中性鉄輝線を観測する場合には特に重要となる点であり、解決策を講じる必要があった。
そこで、基板厚を従来の550 umから 10 um にまで薄くした多重化コーデッドマスクを新たに導入して、撮像系の低エネルギー側における有効面積を更に向上させることにした。昨年度と同様に放射光施設SPring-8で、基板厚10 um の多重化コーデッドマスクからなる撮像系に単色平行X線を入射し、X線透過率及びMIXIMとしての撮像性能の評価を行った。その結果、MIXIMとしての撮像性能は昨年度と同じレベルを保持したまま、中性鉄輝線帯域でのマスク透過率を50%近くまで向上させることに成功した。これはマスクの開口率とほぼ同じ値であることから、実質的にマスク基板の吸収を無視できるレベルに到達したと言える。
その他にも、X線分光撮像衛星 XRISM に搭載されるX線CCDの較正試験や単体熱真空試験等の現場作業・データ解析に積極的に参加し、開発チームへの貢献を果たした。また、本年度にようやく軟X線帯域で初めて偏光撮像を行う Imaging X-ray Polarimetry Explorer (IXPE) が打ち上げられたため、データの健全性の確認も含めた即時解析に参加し、X線偏光撮像観測データの取り扱いに習熟した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度の研究実績概要でも言及したとおり、X線分光撮像衛星 XRISM とX線偏光撮像衛星 IXPE が共に打ち上げ延期となったことで当初の計画は余儀なく変更となっている。しかし、今年度 IXPE が無事に打ち上がったことで、Science participant として観測データの即時解析に携われるようになった。現状、研究計画で想定していた活動銀河核とは異なる天体の解析に着手しているが、観測データの解析手法に関してはおよそ共通であることから、即時解析の知見は今後の研究にも活用できる見込みである。
また、多重像X線干渉計 MIXIM の開発に関しては前年度から順調な進展を見せており、今年度もこれまでの課題を克服して性能を大幅に向上させることができた。上述の観測衛星と比較するとまだ原理実証段階ではあるが、将来的に観測が実現すれば超高画質のX線撮像が可能となることから、研究目的である活動銀河核周辺構造の解明に大きく貢献する技術開発であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
MIXIM は多重化コーデッドマスクを用いた場合の撮像結果の解析手法等にまだ改善の余地があるため、今後は解析手法の最適化やX線偏光撮像の可能性の詳細な検討を行い、更なる性能の向上を目指す。これまでの開発進捗があることから、来年度は国際学会等を通じて MIXIM の成果を報告し、関係者との活発な議論も並行して進めていく。
また、今後 IXPE は活動銀河核を含む様々な天体を観測していくことから、引き続き IXPE の観測データの即時解析を行うことで、チームに貢献すると共に解析手順の習熟を目指す。当初の研究計画では XRISM の観測結果との組合わせを想定していたが、IXPE の観測結果のみで議論できる余地がないかに関しても検討を進める。
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