2021 Fiscal Year Annual Research Report
過去の土地利用が植物群集組成を長期的に規定するメカニズム:スキー場草原に着目して
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20J20697
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
矢井田 友暉 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 半自然草原 / 植生再生 / スキー場 / 種子散布制限 / 真菌共生 / メタバーコーディング |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題の中核となる、「スキー場において埋土種子の消失および種子散布制限が草原植生再生の妨げになっている」という仮説の検証については、去年度および今年度の4月に学会発表(日本生態学会および査読付き国際草原学会)を終えている。さらに、雑誌への投稿準備も始めており、既に国際査読誌の特集号に要旨の提出をしている。この研究では、近代的な土地利用のひとつであるスキー場管理が、一般的にはその場所の植生に負の影響を与えていると言われてきたが、スキー場による草原管理が長期間に渡って維持されることで、多様な植物の代替的な生育地を創出している可能性に言及できる。 最終課題である「草原性植物の根内共生真菌群集組成が過去の土地利用の影響を受けているか」という仮説の検証については、去年度に野外データの取集および植物体のサンプリングを終え、現在は真菌群集組成の特定のための分子実験を行なっている。データが揃い次第、論文執筆を開始する。この成果が期待通りであれば、上記課題で触れたスキー場管理による植生の回復と並行して、共生真菌群集の再生が起きていることが示される。近代的な草原の維持管理による植生および菌類群集の再生は、世界中で近代化が進んでいる現代において保全生態学上の重要な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では既に分子実験を終え、論文を執筆している段階にいるはずであったが、去年度新型コロナウィルスの影響で分子実験を行える筑波大学へ入校することができない期間があったため、やや進捗が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、分子実験を進めながら研究課題の中核となる論文の執筆を並行して行なっている。特に、分子実験については2ヶ月程度かかる見通しで、7月以降から論文の執筆を始められる予定で考えている。
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Research Products
(3 results)