2021 Fiscal Year Annual Research Report
First detection of the continuous gravitational wave from low mass X-ray binaries
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20J20809
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
御堂岡 拓哉 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | X線連星 / 中性子星 / X線パルス / 重力波 / 活動銀河核 / 降着円盤風 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の研究目的はSco X-1からのX線パルスを探査し、検出された場合、定常重力波初検出へ向け観測的・実験的研究を推進することであった。2021年度前半でX線パルス探査は完了したが、結果的にX線パルスは検出されず、研究手法やパルス振幅上限値をまとめた投稿論文を作成中である。
将来有望な他の重力波源として活動銀河核 (AGN)中心に存在する超巨大ブラックホール同士の合体がある。2021年度以降は少し方向性をシフトし、主にAGNの観測的研究を行う。 近年の観測・理論的研究から、ほとんどのAGNは複数の吸収体を持つことが示唆されている。例えば、放射電磁流体シミュレーションでは、超高速の円盤風 (UFO)が中心から遠く離れたところで不安定になり、ガス塊に変化することが示された。しかし、これまでのX線スペクトル解析では、スペクトル成分が複雑に絡み合っているため、ガス塊による部分吸収とUFOなどそれ以外の成分のパラメータ縮退を解くことができておらず、ガス塊の観測的パラメータに制限をつけることができなかった。
私はこのパラメータ縮退を解くため、スペクトル比フィッティングという新たな手法を開発した。強度スライススペクトルの比をとることで、時間変化しないパラメータの効果をキャンセルし、ガス塊のパラメータの制限に集中することが可能になる。この手法をIRAS13224-3809というAGNに適用し、(1)ガス塊のアウトフロー速度がUFOと同程度であること、(2)明るい時間帯では速度が大きくなることを発見した。つまり、輻射圧駆動円盤風が不安定性により部分吸収を起こすガス塊になったという理論描像を観測的に支持する結果を初めて得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究目的はSco X-1からのX線パルスを探査し、検出された場合、定常重力波初検出へ向け観測的・実験的研究を推進することであった。計画通り、2021年度前半でX線パルス探査は完了したが、結果的にX線パルスは検出されなかった。 この挑戦的な研究テーマの裏でバックアップとして修士課程の頃から進めていたAGNの観測的研究に2021年度以降は本格的に取り組み始め、これまでの成果をまとめた論文が査読誌に受理された。 当初の予定通りに研究は進まなかったが、リスクヘッジとして並列で進めていた研究で成果を挙げることはできており、博士課程での研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は昨年度得られた成果をさらに強固なものにするため、さまざまな追加検証を行い、投稿論文にまとめる。また、スペクトル比フィッティングによりガス塊のパラメータを正確に求めることができたので、UFOのパラメータもこれまでより精緻に決定できるはずである。UFOは銀河とブラックホールの共進化に大きく寄与すると考えられており、UFOパラメータを精度良く求めることは宇宙論の観点からも重要である。さらに、MonteCarloシミュレーションコード MONACO(MONtecarlo simulation for Astrophysics and COsmology; Watanabe et al. 2006; Odaka et al. 2011)に円盤風ジオメトリを組み込んでX線スペクトルが説明できるか確認し、部分吸収モデルの正当性を検証する。IRAS 13224-3809はFe-K輝線のエネルギー帯にタイムラグが観測されている。MONACOを用いて、光度変化に伴うスペクトル変化およびラグの形状も調査する。これら全ての成果を博士論文としてまとめる。
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