2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research for novel regulation mechanism of plant stem cell maintenance, focusing on interaction between stem cell and differentiating cell in moss meristem
Project/Area Number |
20J20812
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
秦 有輝 東北大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 植物幹細胞 / ヒメツリガネゴケ / 発生進化 / メリステム / 非対称分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、ヒメツリガネゴケのTAWAWA1オーソログPpTAW1~4のC末端側にYFPをノックインしたマーカーラインの解析から、PpTAW1~4はいずれもヒメツリガネゴケのメリステム幹細胞では発現しておらず、特にPpTAW2は幹細胞特異的に発現していないことが明らかになった。さらに、相同組換えによるPpTAW1~4の四重機能欠失変異体、PpTAW2過剰発現体、転写抑制ドメインSRDX融合型PpTAW2過剰発現体による機能解析からは、PpTAW1~4は細胞の分化を促進する因子であることを示唆する結果が得られている。以上の事実から、幹細胞が分裂するとPpTAW2が分化する細胞側のみで発現し、細胞分化を促進することで、単一幹細胞の非対称な運命決定に寄与しているものと考えられる。このモデルを検証するため、幹細胞特異的に発現する遺伝子(幹細胞マーカー遺伝子)、および幹細胞が分化細胞を生じる際に発現する遺伝子(分化細胞マーカー遺伝子)を同定し、PpTAW2がこれらの遺伝子をどのように制御しているのかを明らかにすることを目指す。マーカー遺伝子の同定のために、単一核RNAseqを準備中であり、コケの組織中から茎葉体由来の核のみを単離する実験系を概ね整えた。また、PpTAW2が制御する遺伝子の同定に関しては、薬剤誘導的にPpTAW2を過剰発現する実験形を用いてRNAseqを行い、PpTAW2の下流で細胞分化に寄与する可能性のある候補遺伝子を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
相同組換えによるPpTAW1~4の四重機能欠失変異体、PpTAW2過剰発現体、転写抑制ドメインSRDX融合型PpTAW2過剰発現体の表現型解析は概ね完了した。単一核RNAseqの準備においては、コケの原糸体上に生じた茎葉体由来の核のみを集めるため、茎葉体特異的に発現するマーカー遺伝子を同定し、茎葉体の核のみをGFPでラベルしたマーカーラインを作出済みである。核の単離もパーコールを用いた手法で良好な状態の核が得られるようになってきている。PpTAW2の下流因子の同定では、主に原糸体からなる組織を用いて薬剤依存的にPpTAW2を過剰発現させ、RNAseqを行った。すでにデータの解析もほぼ完了し、PpTAW2の下流で細胞分化に寄与する可能性のある候補遺伝子を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
単一核RNAseqとPpTAW2の下流因子の同定並びに機能解析を中心に研究を進める。単一核RNAseqでは、茎葉体の核のみをGFPでラベルしたマーカーラインから単離した核をFACSに通してGFPシグナルを持つ核を回収し、単一細胞解析用プラットフォームに流してシーケンシングを行う。データが得られ次第、幹細胞マーカー遺伝子および分化細胞マーカー遺伝子の同定を試みる。PpTAW2の下流因子に関しては、前年度行った原糸体を中心とした組織を用いたRNAseqに加えて茎葉体を用いたRNAseqを行い、候補遺伝子の絞り込みを行う。候補遺伝子を確定し、その局在や機能を調べる予定である。
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