2021 Fiscal Year Annual Research Report
ヘキサフィリンを主とした新規環拡張ポルフィリンの合成とその応用
Project/Area Number |
20J20954
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中井 彬人 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 環拡張ポルフィリン / ポルフィリンテープ / 縮環ポルフィリノイド / オクタフィリン / 芳香族性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回初のメゾフリーオクタフィリンとしてテトラブロモ[36]オクタフィリンを合成した。そしてZn錯化すると5位と25位が分子内で架橋された縮環体を与える一方で、Ni錯化を行うと渡環反応によりN混乱ポルフィリンテープへと変化することを明らかにした。それぞれの縮環体は36πメビウス芳香族性と36π反芳香族性を示した。さらには、N-混乱ポルフィリンテープは酸化することで34π芳香族性を示すようになり、酸化還元挙動を示すことを明らかにした。このように金属錯化に伴う渡環反応を利用した新規な合成法を開拓しただけではなく、環拡張ポルフィリンに特有の物性を保持した新たなポルフィリンテープ類縁体の合成に成功した。 さらには、Ni(II)ポルフィリン-Zn(II)オクタフィリンメゾーメゾ直結ハイブリッド三量体に対する酸化的縮環反応を行うことで、Ni(II) ポルフィリン-Zn(II) オクタフィリンハイブリッドテープを合成することを達成した。これはメビウス芳香族性を示す初のポルフィリンテープ類縁体であり、その物性をメゾーメゾ直結三量体と比較することで詳細に議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オクタフィリンから分子内渡環反応を用いて新規縮環ポルフィリノイドを合成する研究テーマにおいては、国際論文誌への採択が決まった(Angew. Chem. Int. Ed. 2021, 60, 26540)。その上、初めはメビウス芳香族性を示すポルフィリンテープ類縁体として、ヘキサフィリンテープの合成を目指していたが、柔軟に分子設計をポルフィリン-オクタフィリンハイブリッドテープへと変更することで、世界初のπ拡張されたメビウス芳香族性分子の合成に成功し、論文に採択された(Chem. Eur. J. 2022, 28, e202200328)。前述の通り今年度のみで筆頭著者の論文2報を含めた計4報もの論文が国際論文誌に受理されている。昨年度に続きハイペースで論文をまとめており、期待以上の研究の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在テトラブロモデカフィリンの合成を達成している。今後はテトラブロモデカフィリンの金属錯化に伴う縮環体の合成を試みる。さらには、テトラブロモデカフィリンとテトラブロモオクタフィリンの脱ブロモ化反応も検討し、従来法では合成が達成されなかった新規なメゾフリー環拡張ポルフィリンの合成とその物性を評価を行う。そしてその無置換体の周辺修飾や酸化することでオキシラジカルを合成し、ねじれた構造を有するラジカル種の合成を試 みる。
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Research Products
(7 results)