2020 Fiscal Year Annual Research Report
Toward a novel response system based on dynamic structural change of redox-active quinodimethane-type molecules
Project/Area Number |
20J20972
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
菅原 一真 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 構造有機化学 / X線結晶構造解析 / 結晶多形 / 超混雑エチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究に先立って、テトラアリールアントラキノジメタン誘導体の溶液及び固体状態における二重のクロミズム応答を明らかにした。そこで得られたテトラアリールアントラキノジメタンが持つ酸化還元特性を踏まえ、その特異な分子構造とそれに基づくdyrex特性を利用することで革新的な研究展開を行うことが可能である。 本年度は、テトラアリールアントラキノジメタン誘導体の分子構造に着目した研究を推進した。通常、これらの誘導体は、四つのアリール基と中央のアントラキノジメタン骨格との間(フィヨルド領域)の大きな立体障害のために、結晶中で折れ曲がり型構造として存在している。そこで、この立体障害を適度に軽減させることで、折れ曲がり型に加えてねじれ型構造を溶液及び結晶中で観測可能と考えた。以上のような分子設計の基、新規のアントラキノジメタン誘導体を合成し、各誘導体のX線構造を確認した。その結果、擬多形結晶中で折れ曲がり型構造とねじれ型構造、さらにはこれらの中間ともいえる構造の発現を達成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに、結晶中でアントラキノジメタン誘導体がとる立体配座が、フィヨルド領域の立体障害の程度に依存することを明らかにした。すなわち、立体障害を軽減することで分子全体の柔軟性が増し、複数の結晶(構造)が得られることを見出した。この知見を活かした分子設計を行うことで、望みの配座を与えるキノジメタン誘導体の構築が可能となる。従って、分子構造の多様性に基づく物性変調を目指したさらなる研究展開が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
アントラキノジメタン誘導体のdyrex特性に焦点を当て、現在までに見出した分子構造の多様性に基づく特異な酸化還元特性を利用する。具体的には、電子的特性及び立体的特性の異なる置換基を導入することで、電子ドナーあるいはアクセプターとして機能し得る誘導体を構築する。これにより、酸化還元特性のファインチューニングを行うことで、前例のないドナー-アクセプター系の創製に向けた研究を推進する。
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Research Products
(3 results)