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2020 Fiscal Year Annual Research Report

ブナ科堅果の結実豊凶がツキノワグマの個体群動態に及ぼす影響の解明

Research Project

Project/Area Number 20J21115
Research InstitutionTokyo University of Agriculture and Technology

Principal Investigator

栃木 香帆子  東京農工大学, 大学院連合農学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2023-03-31
Keywordsツキノワグマ / 個体群動態 / 生活史パラメータ / 繁殖パラメータ / 自然死亡率 / ブナ科堅果 / 結実豊凶
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、ツキノワグマ(以下、クマ)の個体群動態が、食物資源量の年変動によって受ける影響を解明することを目的とする。本研究では、まず個体数の増加を規定する出生と減少を規定する死亡を推定することで、クマの個体群動態を明らかにする。そして、クマにとって重要な食物であるブナ科堅果の生産量の年変動(以下、結実豊凶)に着目し、結実豊凶による繁殖成功の変化と、出没に伴う駆除数の変化を通じて、個体群動態への影響を定量的に評価する。
令和2年度は、クマの個体群動態の規定要因である出生と死亡の推定を中心に研究を行った。
まず、出生に関わる情報の獲得のため、2006年から2018年にかけて長野県・群馬県・栃木県にて捕獲された、4歳以上の成獣メス個体の歯の試料を、長野県環境保全研究所と群馬県立自然史博物館、栃木県林業センターの共同研究機関から拝借し、計603個体(長野=518、群馬県=55、栃木=30)の歯の切片標本を作成した。歯根部に形成される年輪幅から、その個体の過去の繁殖成功の有無を推定可能であるため、各個体の年輪幅の計測を実施した。さらに、群馬県立自然史博物館から提供された4歳以上のメス成獣56個体の子宮の胎盤痕のデータから、産子数の推定を行った。
続いて、自然死亡に関する情報の獲得のため、栃木県日光足尾山地でクマの学術捕獲を行った。過去に捕獲されたメス45個体から得られた2003年から2020年までの再捕獲及び死亡情報を整理した。その情報に基づきcapture-recapture-recovery modelによって自然死亡率を推定した。さらに同調査地における成獣メスの0歳の子連れの有無と子の生存状況の観察記録に基づき、一般化線形モデルによって0歳の死亡率の推定を行った。
2005年から2019年にかけて長野県・群馬県・栃木県にてまとめられてきたブナ科堅果類の結実豊凶データの整理も行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウィルス感染拡大の影響により、当初の予定通り歯の切片標本作成作業や年輪幅の計測作業が進まなかった。群馬県・栃木県の個体の年輪幅の計測は終了したが、長野県の個体に関しては計測が約6割の個体にとどまっている。一方で、学術捕獲データの整理は進み、自然死亡率及び0歳の子の死亡率の推定を行うことができた。

Strategy for Future Research Activity

各個体の過去の繁殖履歴を推定し、初繁殖成功年齢・繁殖間隔を推定する予定である。年輪幅計測と並行して、出生と死亡の指標を用いた個体群動態の推定するための、コホート解析のモデル構築を進める予定である。また、ブナ科堅果類の結実豊凶データは、各県における調査方法の違いにより、異なる基準に基づく定性的な記録であるため、3県で共通する基準での結実豊凶指標の確立を目指し、階層ベイズモデルによる解析方法を検討している。
出生と死亡の情報に関する研究成果は、日本哺乳類学会・日本生態学会・日本森林学会での発表を予定しているほか、2本の論文を執筆中であり国際誌への投稿を予定している。

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Published: 2022-12-28  

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