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2020 Fiscal Year Annual Research Report

中近世移行期の対外交渉にみる統一政権の性格

Research Project

Project/Area Number 20J21152
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

吉永 光貴  東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2020-04-24 – 2023-03-31
Keywords文禄・慶長の役 / 壬辰戦争 / 豊臣政権 / 加藤清正 / 海賊停止令 / 倭寇 / 対馬宗氏 / 日朝関係
Outline of Annual Research Achievements

本年度の目標としては、①文禄・慶長の役における加藤清正の基本的な動向の分析、②文禄・慶長の役を下支えした軍役の分析を掲げていた。それぞれに関連する分析を進め、研究報告を行った。
①では、加藤清正関係史料の収集・整理を通じて、文禄・慶長の役期間の加藤清正の動向の復元とその位置づけの検討を行った。特に、慶長の役期間の豊臣政権による日明・日朝交渉の構想においては豊臣政権によって加藤清正が交渉担当者に位置づけられ、一貫して交渉を継続していたという知見を得た。
①に関連して、2020年11月に第118回史学会大会日本中世史部会で「慶長の役直前における豊臣政権の対朝鮮政策」と題した研究報告を行った。同報告では、宮内庁書陵部蔵『文英清韓長老記録』等の史料分析を通じて、従来あまり注目されてこなかった慶長の役直前の加藤清正を通じた対朝鮮交渉を復元し、慶長の役直前の加藤清正が豊臣政権による対朝鮮交渉において重要な位置を占めていたことなどを明らかにした。
②では、文禄・慶長の役の大名の軍事行動や交渉を下支えした人材に倭寇出身者がいることに注目し、豊臣政権・諸大名と海賊の関係を示す史料の収集・整理を行った。また、関連して八代市立博物館未来の森ミュージアムにおいて同館蔵史料の閲覧・調査等を行い、加藤清正による家臣団編成に関する知見を得た。
②に関連して、大阪歴史学会中世史部会2020年12月例会で「海賊停止令と後期倭寇の終息」と題した研究報告を行った。報告では、豊臣政権による海賊停止令によって海賊が検挙される契機としては、地域権力や商人集団による豊臣政権への出訴が重要であることを確認し、著名な倭寇の沙火同・テッカイの検挙は対馬宗氏の要請に基づく可能性を指摘した。また、同時期には大名が海賊を体制内に取り込む動きもあり、体制内に取り込まれた倭寇が文禄・慶長の役を下支えした事例を指摘した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

新型コロナウィルスの感染拡大と関連する社会情勢により、大学図書館や国内の関係機関等の利用制限が敷かれ、図書利用や史料調査に支障が生じ、主にオンライン上で閲覧可能な史料や刊本史料を中心に事例の収集・分析を進めた。そのため、必ずしも当初の研究計画通りには進展しなかった。
特に、当初の研究計画に掲げていた各所での未刊史料の史料調査に関しては甚大な影響を受けたが、交付期間延長後の2021年度までにはある程度事態が好転したため、東京大学史料編纂所図書室や八代市立博物館・未来の森ミュージアムなどで史料調査を行い、加藤清正の家臣団編成等についての知見を得た。
研究成果の発信という点では、本年度は2本の口頭報告を実施した。口頭報告と質疑応答での応答を前提としつつ、研究成果の文章化を進め、査読付き雑誌論文としての投稿を目指している。
前述した通り、新型コロナウイルスによる研究上の制約が大きかったものの、一定の研究成果を得られた。本年度の研究課題の進捗状況については、おおむね順調に進展しているものと評価している。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の方針として、以下の3点を挙げておく。
1つ目は、これまでの研究成果の文章化を進める。本年度は研究成果の口頭報告やそれに基づく論文の執筆を進めたが、なお投稿には至っておらず、研究成果の発信に関してはやや課題が残った。口頭報告の質疑応答で重要な指摘を多く受けており、それらを反映しながら論文投稿や新たな口頭報告を行うことで、研究成果の積極的な発信を行う。また、この間に調査した史料には未刊のものも少なくはないため、学界への史料紹介を行うことも検討したい。
2つ目は、慶長の役期間を中心に、加藤清正以外の大名の動向の分析を行う。慶長の役期間の豊臣政権の対朝鮮交渉の構想段階においては加藤清正が重要な位置を占めていたという知見は得られたが、小西行長・宗義智・島津義弘などの他大名も交渉を行っており、相互の関係を分析する必要がある。そのため、加藤清正以外の大名の動向を復元することで、実際の日明・日朝交渉の様相を解明し、実態における加藤清正の位置づけを分析する必要がある。
3つ目は、引き続き軍制の分析を進める。本年度は軍制に関しては大名による倭寇の編成に偏った分析となった。今後戦争遂行を下支えした軍制や戦争過程を広く分析することで、戦争としての文禄・慶長の役の全体像の理解を目指す。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 慶長の役直前における豊臣政権の対朝鮮政策 ―加藤清正の動向に注目して―2020

    • Author(s)
      吉永 光貴
    • Organizer
      第118回 史学会大会 日本中世史部会
  • [Presentation] 海賊停止令と後期倭寇の終息2020

    • Author(s)
      吉永 光貴
    • Organizer
      大阪歴史学会 中世史部会 2020年12月例会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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