2021 Fiscal Year Annual Research Report
変分法によるN体問題の周期解の存在証明と安定性解析
Project/Area Number |
20J21214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
梶原 唯加 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | N体問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的のひとつは変分問題を用いた従来の手法をより発展させ新たなN体問題の解を構成することであった. 3体問題の一種である制限3体問題は力学系や天体力学などの分野で古くから研究されている重要なテーマのひとつである.2020年度は平面円制限3体問題において,syzygyと呼ばれる現象が起こるような軌道について調べた.N体問題に関わる変分解析では,汎関数の値を評価することが重要になるが,一定の評価式が得られたので研究集会で発表した.また,共同研究において,衛星の軌道の解析などでも用いられ,応用上有用な問題の一つであるHill問題について,制限3体問題で得られた成果を活用することで,新たな周期解の存在を示すことに成功した. 2020年度において着目した3体問題におけるsyzygyは,3次の組みひもと深い繋がりがあることが知られている.そこで,当初の研究実施計画にはなかったものの,繰り越しを行った2021年度において平面周期解から得られる組みひもについても他大学の研究者を交えて共同研究を行った.共同研究の中で,特定の周期解のクラスから得られる組みひもとの関係について明らかすることができた. 一方で,本研究の目的のもう一つのテーマでもあった,N体問題の周期解についての安定性解析はあまり進捗が得られなかったため,当該年度の研究で新たに得られた周期解についての解析も含め,今後の課題として残っている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は,新型コロナウイルスの影響で,十分な研究討論が行えない時期が長かった.2021年度に繰り越したが,2021年度は当初予定していなかった組み紐に関する研究をはじめた一方で,当初の研究計画にあった安定性解析などの話題はあまり進捗が得られなかったため,やや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては,周期解,周期解から得られる組み紐,および元の微分方程式系の関係性を明らかにすることがあげられる.より具体的には組み紐は低次元力学系と深い関係があることがよく知られているが,ではn体問題のような高次元の力学系を考察するうえで,組み紐との対応関係からどのようなことが導かれるかを調べる.
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