2020 Fiscal Year Annual Research Report
知的生産作業の支援を促す動的壁面型デバイスによる視覚・聴覚情報伝達制御手法の探索
Project/Area Number |
20J21237
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大西 悠貴 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ヒューマンインタフェース / パーティション / 空間デザイン / ソーシャルディスタンス / プライバシー / ロボットディスプレイ / 力触覚フィードバック / 映像拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,作業空間内で知的生産作業中の個々人へ与えるノイズを削減し,より集中できる環境づくりを目指すべく,音や視覚等の環境ノイズを適切に制御可能なインタフェースを提案し,コミュニケーション等と個人の作業性を両立した知的生産作業環境の実現を目的とする. 本年度は,個人の作業性を維持可能な作業空間を実現する動的変形壁面型インタフェースの開発に取り組んだ.まずは,インタフェースの開発にあたり,オフィス空間など作業環境内で特に注意すべき要素について最新の研究から情報を取集した.昨今のコロナウイルスの影響を受け,オフィス形態はさらに変化しており,働く場所の多様化,直接関係を持たない個人同士の同一空間内での共存,空間内での人の過度な密集を防ぎ対人距離を確保するためのパーティション利用が増えている.これを踏まえ,作業中の個人のプライバシーの確保と個人間の対人距離の確保を両立する自走式動的変形壁面型インタフェースを開発した.提案インタフェースは作業人数や内容に応じてパーティションの高さと長さが動的に変形し,アクチュエータにより空間内を自由に移動可能な二つの要素を持つ.プロトタイプの有用性を検討するため,複数シナリオを提示し議論した.本成果の一部はCHI2021に採択され,ポスター発表を行う予定である. 本年度はさらに,ディスプレイの物理的な運動から擬似触覚を提示可能な自走式壁面型ディスプレイの提案を通して,壁面型インタフェースのさらなる有用性を検討した.従来,視覚情報の操作のみによる錯覚を利用した擬似触覚の提示が行われていたが,提案手法ではより臨場感が高まる物理ディスプレイの運動量の操作に変換した.評価実験より,提案手法は対象物体との接触感及び体験全体の臨場感が高い体験を提示可能であることが分かった.本成果はIEEE VR2021に採択され,口頭発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題で目標としていた,作業空間内の個々を取り巻く環境ノイズを制御し,プライバシーの確保されたユーザ個人の作業環境を動的に生成可能な壁面型インタフェースの試作まで行うことができた.また,インタフェースの検討にあたり,個人の作業生産性の維持を実現する上でオフィス環境で課題となっている要素に関する情報収集を行ったことで,本研究課題で焦点を当てるべき課題点を概観することができたと考えている.さらに,本年度は成果の一部を国際学会にポスター投稿することができたが,フルペーパーでの論文投稿には至っていないため,2021年度は試作したプロトタイプの評価実験を行い論文投稿に向けて準備していきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に実装した動的変形可能な壁面型インタフェースを用いて,作業中のプライバシー保護や作業生産性に対する動的壁面型インタフェースの有用性の評価に取り組む.先行研究で提案されているバーチャルなパーティション等との比較検討を行い,ユーザ間のコミュニケーションやインタラクションへの継続的な効果を明らかにする.しかし,コロナウイルスの影響により,ユーザ実験の実施が予定通り進まないことが予想されるため,ユーザ評価を必要としないシステムの評価方法についても検討する予定である. また,提案インタフェースを応用し,動的変形型の壁面型インタフェースのオフィス空間外での利用可能性についても検討していきたい.
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