2022 Fiscal Year Annual Research Report
適切なベクターコントロールを目指した殺虫剤の生体・生態影響評価とその手法の確立
Project/Area Number |
20J21282
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
本平 航大 北海道大学, 大学院獣医学院, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
|
Keywords | マルチオミクス / 多世代 / リピドーム / バイオマーカー / 新規毒性試験法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、殺虫剤ジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)をモデル化合物に、殺虫剤の生体・生態影響評価とその手法の確立を目的としている。2021年度は、実験ラットを用いて、コンピュータ断層撮影(CT)による肝臓の影響評価手法の開発を実施した。また、新規毒性試験法自体の有用性評価のため、複数の化学物質を用いた検証が必要であるという課題が発見されたことから、フェノバルビタールを用いた曝露試験を実施した。2022年度は、これらの化学物質の影響評価手法の確立のため、血漿中マルチオミクス解析を実施した。フェノバルビタールの試験からは、セラミドなどの血中の脂質が、肝臓中遺伝子発現量を予想するバイオマーカーの候補として特定できた。安楽死前に評価可能なCTと血液分析を組み合わせることで、より高い精度で、化学物質の毒性を検査できると期待される。DDT曝露試験から、ラットに、明確な毒性は検出されなかったものの、異物代謝などに関わる複数の遺伝子で、その遺伝子発現量が有意に変動していた。本研究は、アフリカなどのDDT散布地域を可能な限り反映した動物試験を実施しており、環境中の低濃度のDDTが哺乳類に及ぼす影響について、さらなる試験の必要性を提言した。CTとマルチオミクス解析を組み合わせた本研究の新しい手法は、実験動物を用いた毒性試験において、同一個体を用いた継続的なモニタリングが可能であり、従来の試験では検出できなかった生体影響、ならびに環境に応用可能なバイオマーカーの発見に繋がる研究である。アフリカにおける、現地のモニタリングは、世界情勢を鑑み、実施しなかったものの、血漿のマルチオミクス解析を実施し、DDTに加え、フェノバルビタールを用いた新規手法自体の評価を実施した。以上の点から、本研究の成果は、目的としていた殺虫剤の生体・生態影響評価とその手法の確立に大きく貢献するものと期待できる。
|
Research Progress Status |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和4年度が最終年度であるため、記入しない。
|