2020 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的手法により精密制御した分子鋳型を内包する半導体バイオセンサの創製
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20J21302
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
檜森 匠吾 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | バイオセンサ / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主にアプタマーを用いた半導体バイオセンサの検討を行った。アプタマーはDNAやRNA、ペプチドといった分子で構成され人工的に合成可能であり、高い分子選択性をもつことが知られている。この分子選択性を活かし、化学構造の類似するL-ドーパとドーパミンを区別してセンシングする界面の作製を行った。電気化学的測定手法では、電極周囲に発生する数ナノメートルの電気二重層に入った電荷および電荷の変化についてのみ検出が行われるため、ドーパミンのみを捕えるアプタマーを電気二重層外に修飾することで、ドーパミンの信号を抑える一方でL-ドーパの信号を検出するセンサを開発した。この内容は学術論文としてまとめられ、Electrochimica Acta誌に掲載された。ここで重要となった点として界面修飾の制御が挙げられる。アプタマーを修飾する際に、電極表面にL-ドーパの電荷を捕えられる隙間を空けながら、かつドーパミンを捕えられるようアプタマーを十分な密度で修飾するため、アプタマーの密度を精密に制御する必要があった。そのため、アプタマーの足場となるジアゾニウム膜を電気化学的手法によって精密に制御しながら製膜することで、両者の均衡を成立させた。この精密制御に関する知見は、今後導電性ポリマーを用いたデバイスを作製する際にも活かされる。また、アプタマーは他の分子認識手法と組み合わせて用いることもできるため、今後作製するデバイスに組み入れることで、様々な生体分子に対応可能な高感度センサが実現しうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は酵素や抗体に代わる分子認識機構として近年注目されているアプタマーを用いたセンシング界面について検討を行った。この中で、低分子であり、かつ分子構造の類似するL-ドーパおよびドーパミンを区別することのできるアプタマーの効果を示した。アプタマーの分子選択性は分子鋳型などと組み合わせることでさらに向上することが考えられる。高い分子選択性はバイオセンサを開発するうえで重要な要素であるため、今後バイオセンサを開発する際にアプタマーを活用する展望が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、分子認識機構を含んだ導電性ポリマーを電極とする生体分子のセンシングについて検討をしており、今後その感度や選択性などについて検討を進めていく予定である。また、様々な生体分子に対応するよう汎用性を向上させるために、異なる分子認識機構を導入し、比較検討を行う。さらに、導電性ポリマーを用いたデバイスの設計及び作製を行う。その際に、半導体バイオセンサだけでなく他の電気化学的手法でも測定を行うことで最適な手法について検討する。
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Research Products
(1 results)