2021 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of novel blood-brain barrier crossing peptide and its application for DDS carriers
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20J21334
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
加藤 直也 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 血液脳関門 / 標的指向化 / ペプチド / ファージディスプレイ / ナノ粒子 / 組織透明化 / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 既存のBBB透過ペプチドの比較検討を基盤とした脳指向性DDSキャリアの開発 様々な機構を介する既報のBBB透過ペプチド8種類の比較検討より、臨床開発が最も進むAngiopep-2やその他のペプチドよりも優れた脳集積性を示すペプチドXを見いだした。ナノ粒子への効率的なリガンド修飾技術である高機能・高品質(HFQ)脂質と脳内空間分布評価法を用いることで、ペプチドX修飾PEGリポソームが高い脳集積性を示し、脳血管内皮細胞および脳血管外に分布することを明らかにした。 当初はもう1種のDDSキャリアとしてエクソソームを想定していたが、回収量の点で機能解析が困難と判断したため、人工エクソソームとして注目される脂質ナノ粒子(LNP)に対する機能化を検証した。ペプチドXがグリオーマ標的のリガンドでもあるため、mRNA内封LNPのヒト脳毛細血管内皮細胞膜透過性評価とグリオーマ取り込みを併せた評価をおこなったところ、ペプチドX修飾mRNA内封LNPは、ヒト脳毛細血管内皮細胞膜を透過した後、下層のグリオーマでの発現効率の上昇が認められた。 (2)ファージディスプレイ法を用いた新規BBB透過環状ペプチドの探索 複数のBBB透過候補環状ペプチドの探索に成功した。蛍光物質またはファージをモデル送達物質としてヒト脳毛細血管内皮細胞膜の透過性を評価したところ、送達物質の種類に応じて異なる候補ペプチドが優れた透過性を示した。 さらに、探索中の環状ペプチドをHFQ脂質へと応用するための合成法を構築するために、クリック反応を用いて環状RGDfKペプチド搭載HFQ脂質の設計・合成をおこなった。新規アダプター脂質を介することで、高水分散性を示す環状RGDfKペプチド搭載HFQ脂質の合成に成功し、ドキソルビシン封入PEGリポソームに対して水系溶媒中で後修飾を施したところ、優れた細胞傷害性を付与できることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)既存のBBB透過ペプチドの比較検討を基盤とした脳指向性DDSキャリアの開発に関しては、高効率に脳内へ移行するペプチドXの探索やペプチドXをHFQ脂質に適用することで脳指向性PEGリポソームの開発に成功し、細胞実験においてmRNA内封LNPに対する有用性も示すことができた。さらには、組織透明化試薬Seebest PPを用いた多色深部観察法を用いることで、新規脳内空間分布評価法としてBBB透過ペプチドや脳指向性PEGリポソームの脳血管との位置関係の解析に成功し、脳腫瘍モデルへの応用も期待される。(2)ファージディスプレイ法を用いた新規BBB透過環状ペプチドの探索に関しては、細胞実験において候補ペプチドの機能性を明らかにできた。また、HFQ脂質への応用に向けた合成法の確立にも成功した。以上、本年度計画を一部変更したものの、研究内容は概ね遂行することができたものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、探索された環状ペプチドの機能性を解明する。また、確立した合成法を用いてBBB透過環状ペプチド搭載HFQ脂質を合成し、脳指向性DDSキャリアの機能性評価を進める。さらには、多色深部観察法を応用し、グリオーマ同所移植モデルマウスにおける治療効果の検証へと展開していく。
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