2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20J21339
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
冨永 貴輝 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 持久性運動 / 炎症 / マクロファージ / CCR2 |
Outline of Annual Research Achievements |
持久性運動時には骨格筋のエネルギー代謝が亢進するが、近年、免疫細胞が運動時のエネルギー代謝に寄与し、持久力を制御することが明らかとなってきた。運動時のエネルギー代謝機構を明らかにすることは、メタボリックシンドロームを始めとする生活習慣病の予防や改善に重要である。これまでに持久性運動時には骨格筋中のサイトカインの増加や免疫細胞浸潤など、免疫調節因子が大きく変動することが数多く報告されているが、エネルギー代謝との関連は明らかとなっていない。そこで本年度は骨格筋に浸潤するマクロファージに着目して研究を行った。 まず、マウスに一過性の持久性運動を負荷し、マクロファージが骨格筋に浸潤するタイムポイントを検討したところ、運動24時間後にマクロファージ浸潤のピークを迎えた。また、運動24時間後にはケモカインであるMCP-1やその受容体であるCCR2の遺伝子発現が増加したため、MCP-1/CCR2を介してマクロファージの浸潤が引き起こされたと考えられる。 次に、骨格筋に浸潤するマクロファージを阻害するために、CCR2阻害薬を用いて運動24時間後のマクロファージの浸潤および、GLUT4などのエネルギー代謝機構の遺伝子発現を測定した。当初の予想に反し、CCR2の阻害により運動24時間後の骨格筋におけるマクロファージ浸潤が亢進し、炎症反応が亢進した。一方、GLUT4などのエネルギー代謝機構の遺伝子発現について、CCR2の阻害による影響は認められなかった。以上のことから、ケモカイン受容体CCR2は運動時の炎症反応を制御している可能性が示唆された。一方、マクロファージ浸潤亢進に伴うエネルギー代謝の亢進が認められなかったことから、運動24時間後におけるマクロファージの浸潤はエネルギー代謝に寄与しない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画ではマクロファージ浸潤阻害モデルマウスを作製し、解析を行う予定であったが、研究実績の概要記載の阻害モデルではマクロファージ浸潤を阻害できなかった。そのため、ターゲットとする免疫細胞を再検討する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度ではマクロファージに着目して研究を進めたが、今後はマクロファージ以外の免疫細胞や免疫細胞が産生するサイトカインにも着目して研究を進める。具体的には、持久性運動時に骨格筋に浸潤する免疫細胞について、T細胞、B細胞、好酸球などを中心にPCR法やフローサイトメトリー法を用いて同定する。また、免疫細胞浸潤に伴い変動するサイトカインを同定し、免疫細胞やサイトカインの中和抗体を用いて阻害することで、持久力やエネルギー代謝機構の影響を解析する。
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