2021 Fiscal Year Annual Research Report
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20J21339
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
冨永 貴輝 早稲田大学, スポーツ科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | 持久性運動 / マスト細胞 / ヒスタミン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度はCCR2 antagonistを用いて骨格筋に浸潤するマクロファージの阻害モデルマウスの作製を試みたものの、マクロファージ浸潤を阻害することが困難であることが判明した。そこで本年度は別の種類の免疫細胞に着目して運動によるエネルギー代謝機能亢進のメカニズムについての検討を進めた。 近年、ヒスタミンが血管内皮細胞を介して運動適応やエネルギー代謝機能の向上に寄与していることが明らかとなった。ヒスタミンはマスト細胞や筋細胞から産生される生理活性物質であるが、エネルギー代謝機能の亢進にマスト細胞が関与しているかどうかは明らかでない。そこで本年度は骨格筋に存在するマスト細胞の脱顆粒に着目して研究を行った。 マウスに運動継続時間が3時間以上の疲労困憊運動を負荷し、骨格筋を採取し、マスト細胞の脱顆粒をトルイジンブルー染色で評価したところ、脱顆粒するマスト細胞が増加することが観察された。このような条件下ではヒスタミン合成酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素 (HDC)や、糖代謝を制御するサイトカインであるIL-6やIL-1β、糖代謝に重要な転写因子であるPGC-1αの遺伝子発現が亢進することを見出した。そこで、筋管細胞に分化させたC2C12細胞にヒスタミンを添加し、筋管細胞に対するヒスタミンの直接的な影響を検討したところ、IL-6やIL-1β、PGC-1α、糖代謝関連遺伝子であるGLUT4の遺伝子発現に対する影響は認められなかった。これらのことから、ヒスタミンが直接筋細胞に対してエネルギー代謝亢進に寄与していないことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は昨年度までの研究方針を転換し、マスト細胞に着目して研究を進めた。条件検討や今後の方針について精査を済ましており、来年度も引き続きマスト細胞に着目して研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はマスト細胞の脱顆粒を阻害するクロモリン酸ナトリウムをマウスに投与し、一過性運動を負荷することで、マスト細胞の脱顆粒が持久力やエネルギー代謝に及ぼす影響を検証する。また、筋管細胞を用いて、骨格筋のエネルギー代謝を亢進させるようなマスト細胞由来液性因子の同定も進める。
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Research Products
(1 results)