2021 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性分子を用いた光新機能の創生とバイオフォトニクスへの応用
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20J21342
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
中川 優磨 龍谷大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2020-04-24 – 2023-03-31
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Keywords | ジアリールエテン / 光誘起細胞毒性 / 窒素含有ヘテロ環 / DNAインターカレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度では、ジアリールエテン (DAE)誘導体の光誘起細胞毒性を発現するのに必要な基本構造の評価を行った。これらの分子構造と光誘起細胞毒性の関係について、12種類の誘導体の物性評価と細胞実験、及びDFT計算から評価を行ったところ、光細胞毒性を示した8つの誘導体の共通の特徴は、(1)分子構造の窒素含有ヘテロ環 (チアゾール環又はピリジン環)の存在、(2) DAE分子の平面性、(3) DAE分子の疎水性、(4)エテン部分のフッ素化環系、及び (5)指定された範囲内の分子サイズ (厚さと幅はそれぞれ6.8 Å以内、長さは20 Å以内)であった。この研究に関しては、Org. Biomol. Chem.誌にて論文が掲載された。また、昨年度発見した結晶状態で白色発光を示す分子の白色メカニズムについてもより詳細に調査した。その結果、この分子は結晶中に2つの配座異性体が存在し、それぞれが異なるスタッキング形態をもつことに起因して青と黄の二重発光を示すことが示唆された。この研究については、現在投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は本研究課題に掲げた研究課題①: アリール基にthiazole環をもつジアリールエテンの光誘起細胞毒性と評価において、ジアリールエテン誘導体の光誘起細胞毒性を発現するのに必要な基本構造の評価を行い、これらの分子構造と光誘起細胞毒性の関係を明らかにし、論文化することが出来た。また、ジアリールエテン誘導体の光誘起細胞毒性の発現機構に関する研究についても、新たに誘導体を合成し、構造評価と分光測定から評価したところ、開環及び閉環異性体が共に436 nmに吸収をもつ誘導体において光誘起細胞毒性が発現したことから、開環/閉環反応が可逆的に起こることによって光誘起細胞毒性が引き起こされていると考えられる。このような知見の蓄積から研究課題①については非常に順調に進行していると考えられる。その一方で、研究課題②は研究課題①の発展であるため、現状取り組めていないため、研究課題①が終了次第、その結果を反映して取り組む所存である。 また、光応答性分子の光新機能に関する研究課題③は、使用している誘導体が期待していた結晶成長が見られないことから、化合物を変更して挑戦したが、期待した結果が得られなかったため、中止した。ただし、上記の研究を行うにあたり、新たに合成した誘導体を前駆体とした化合物において、紫外光を照射すると白色発光を示すとい結果が得られたため、光応答性分子の光新機能に関する研究についてはこちらを主として行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題①については、当初の構想よりもより発展して研究が進行しているため、このまま論文化を目指して研究を行っていく。研究課題②については、研究課題①と平行で分子探索を始める予定である。 応答性分子の光新機能に関する研究課題③は使用している誘導体、及び同様の機能が期待できる誘導体を使用して検討したが、期待していた結晶成長が見られなかった。そこで、上記の研究を行うにあたり、新たに合成した誘導体を前駆体とした化合物において、紫外光を照射すると白色発光を示すとい結果が得られたため、光応答性分子の光新機能に関する研究についてはこちらに変更して主として行っていく。
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